「知財管理」誌

Vol.50 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 50巻(2000年) / 8号 / 1155頁
論文区分 論説
論文名 フィリップス立体商標事件 ―英国控訴裁判所の解釈―
著者 河合千明
抄録 1999年5月5日、英国控訴裁判所は立体商標の登録の有効性について、重要な解釈を示した。本件は、髭剃りの形状の立体商標登録を有するフィリップスが、同社の3個ヘッド付髭剃りの形状と類似の形状の髭剃りを製造、販売し始めたレミントンに対し、商標権侵害、意匠権侵害等を根拠に訴訟を起こした事件であるが、レミントンの反訴によりフィリップスの立体商標の登録の有効性及びレミントンの3個ヘッド付髭剃り形状の使用に関する侵害の成否が焦点となった。英国裁判所は、これら争点につき判断するに際し、その根拠となる1994年英国商標法がEU指令(89/104/EEC)を履行するために施行されたことに鑑み、スウェーデンストックホルム地方裁判所が、同じ目的のため1995年改正された1960年スウェーデン商標法のもと、同様の事件について、第一審英国高等裁判所とは異なる解釈を行ったことを重視し、最終的な結論を出す前に、欧州司法裁判所にEU指令の解釈についての参考意見を求めることとした。しかしながら、それを前提に英国控訴裁判所は、英国裁判所としての考えを予め示した。本稿では、その英国控訴裁判所の解釈を検討する。
Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.