「知財管理」誌

Vol.50 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 50巻(2000年) / 7号 / 969頁
論文区分 論説
論文名 米国企業との契約における仲裁条項
著者 森昌康
抄録 仲裁人は、一般に優れた法律家が選任されるが、当事者の一方が米国企業であり、他方当事者が日本企業である場合、仲裁判断に恣意若しくはバイアスが働かないとは言い切れない。仲裁人は、彼らの下した判断に理由を記載する必要はなく、いかにして損害賠償額を算出したかについて記載する必要もない。このため、仲裁判断が正当な理由付けによってなされたかの判断さえ困難である。さらに、仲裁判断を不服として裁判所で争うこともほとんど不可能である。従って、米国企業との契約において、安易に仲裁条項を入れることは危険である。仲裁条項を入れる際には、全ての紛争を仲裁により解決する、言い換えると、裁判所で争う権利を放棄する包括的な仲裁条項が本当に必要か慎重に考慮しなければならない。ある特定の事項に関する紛争だけを仲裁により解決する限定的な仲裁条項を検討してみてもよいであろう。
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