抄録 |
近年のコンピュータの普及およびソフトウエア産業の著しい発達に伴い、ソフトウエア・ライセンスにも新しい動きが出てきている。その一つは、コンピュータ・プログラムのパッケージ販売やインターネット等ネットワークを介した頒布に見られるような不特定多数への取引きの増大であり、また、さらに書面によらないネットワーク上でのソフトウエア・ライセンス契約も導入されるようになってきている。このような変化に対応するため、米国では、約10年前から米国統一商事法典(UCC)の見直しが検討されてきた。このUCCの改訂作業の中で、ソフトウエア・ライセンス契約に関する取扱いを第2B編として設ける草案が公表された。その後、UCCの法体系の枠組み内での法案成立は困難とし、UCCとは独立の統一コンピュータ情報取引法(UCITA)と称するモデル法として今夏に採択された。このような経緯の背景には、NCCUSLとALIの意見の対立があった。今後は、各州にてUCITA採択の段階に入ることになっている。本稿では、このUCC第2B編起草案からモデル法としてのUCITAの採択に至る米国におけるソフトウエア・ライセンス契約に関する法整備の動きとその問題点に触れる。 |