「知財管理」誌
Vol.49 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 49巻(1999年) / 5号 / 603頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 国内最高の約30億円の損害賠償等が認められた事例 ―H2ブロッカー事件― |
著者 | 佐藤富徳 |
抄録 | 本件(東京地裁平成10年10月12日「H2ブロッカー事件」判決)は、H2ブロッカーと呼ばれる胃薬の製造方法の特許権の侵害に対して、逸失利益として国内最高の25億6千万円の損害賠償及び5億円の不当利得返還請求が認められた事例である。本件では、被告の製造方法が特許法104条の生産方法の推定規定を受け得るかどうかが争点となったが、東京地裁は推定規定の適用を認め特許権侵害があったと判断し、侵害がなかったならば得られたはずの原告の逸失利益を損害額として認めたため、賠償額が膨らんだものである。本件の逸失利益の算定方法は、今回の改正特許法を先取りしたものであり、我が国の本格的プロパテント時代の幕開けを反映したものということができよう。さらに、本件に見るように賠償額の高額化に対応した実務の指針にも触れることとする。 |