「知財管理」誌

Vol.49 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 49巻(1999年) / 4号 / 453頁
論文区分 論説
論文名 補正に関する判例を振り返る ―平成5年改正法下補正の考察の材料として―
著者 岸田伸太郎
抄録 H5年改正法において、補正は当初明細書(図面)の記載の範囲内にて行うこととされる。これは、クレームについて補正に関する旧41条の文言に一致する。そこで本稿では、従来司法の場において、「当初明細書(図面)の記載の範囲内」とはどの程度の補正を許容しまたは許容されなかったのかという点について、判例を紹介して俯瞰する。(1)当業者が当初明細書の記載から自明と読める範囲は、当初明細書の記載の範囲内と見なされる、(2)当初の図面では図面符号が付されていない箇所に基づく補正は、図面や明細書を総合的に参酌した結果、当初明細書の範囲内と見なされることがある、(3)誤記を訂正する補正は、当初明細書の記載全体から発明を把握したときに誤記であることが明らかであり、且つ訂正事項が当業者にとり自明の訂正であれば、当初明細書の範囲内と見なされる、(4)新たな技術的知見を加えない補正は、当初明細書の記載の範囲内と見なされ得る、の4点が明らかになった。
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