「知財管理」誌
Vol.49 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 49巻(1999年) / 12号 / 1681頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 均等論に関する日本最高裁判所の判決および韓国大法院の判決の比較・分析 ―All Elements Ruleを参照して― |
著者 | 金昌世 |
抄録 | 日本最高裁判所の平成10年2月24日判決に明示された均等論適用要件は、日本独自の「階級的接近方式」(特許発明を本質的部分と非本質的部分に区分してその比重を異にするhierarchical approach)の形式をとっており、同じ大陸法体制下にある韓国において至大な関心の的になっている。本件判決の内容を米国の「平等的接近方式(all elements rule)」に照し合せて検討してみると、いくつかの疑問点・問題点が著れるが、これは前記適用要件が、衡平の原則の下で先行技術、発明の性質などを含む様々な要素を組込んだ包括的な均等論を樹立するためのものであることに起因し、このため当該均等論を多種多様な事件に画一的に適用することは容易でないとみられる。これに反して韓国では、消極的な「事件別接近方法」(case-by-case approach)を均等論に係わる判決に採用しており、今後、英米式の均等論を接木して統一的な均等論を確立することが要求される。 |