「知財管理」誌
Vol.49 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 49巻(1999年) / 11号 / 1541頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 自由技術の抗弁と立法論 |
著者 | 清水尚人 |
抄録 | 近年のプロパテント政策に伴い、毎年のように特許権者側に有利に特許法の改正が行われている。一方、審査・審理促進施策やクレームの記載要件緩和等から、審査に困難性が増し瑕疵ある特許の出現が今まで以上に懸念されているように思われる。たとえ瑕疵ある特許であっても、一度それに基づき侵害訴訟でも提起されれば被疑者側は多大な労力、時間、経費を必然的に強いられることになる。特許発明の技術的範囲に一見属するが公知技術である発明を単に実施しているだけの場合でも事態は多きくは換わらない。かかる場合、自由技術の抗弁でもって技術的範囲を縮小解釈する対応が考えられる。しかし、裁判所は、司法と行政との権限分配の問題等から真正面から自由技術の抗弁を認め難いところがある。著者は、健全な産業の発達と公益保護の立場から、特許強化策等の反動として考えられる行き過ぎた権利行使を未然に防止すべく、自由技術の抗弁に相当する条文の立法化について検討してみた。 |