「知財管理」誌
Vol.48 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 48巻(1998年) / 7号 / 1137頁 |
論文区分 | 随想・紀行 |
論文名 | 「小僧寿し」判決に想う ―不正競争防止法的考え方と商標法― |
著者 | 川瀬幹夫 |
抄録 | 最高裁判所の「小僧寿し」判決は、様々な意味で話題を呼び、商標の世界に大きいインパクトを与えました。「小僧寿し」案件の真の意味を探り、商標が真に保護の対象となるべき事情を見極めて下された素晴らしい判決で、特に不正競争防止法が具現する商標保護の考え方とよく一致するものです。しかし、この判決は商標法に係るものであり、その側面から眺めてみると、何かしらしっくりこないものが残ります。それはおそらく、商標保護を行為規制型で実現する不正競争防止法の考え方と、登録主義に基づく権利付与型でこれを実現する商標法の考え方に大きい乖離が存在するからだと思われます。商標保護の正しい姿を示してくれた本件判決の精神を生かすには商標法側から見ても疑問のない状態をつくるべきで、その意味では商標法の規定を改正し、登録主義を生かしつつ、不正競争防止法的考え方との乖離をなくする工夫が必要かと思います。 |