「知財管理」誌

Vol.48 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 48巻(1998年) / 5号 / 649頁
論文区分 論説
論文名 米国特許法112条第6パラグラフの適用の実際と留意点
著者 国際委員会第2小委員会
抄録 米国特許法112条6項では、「結合(cpmbination)に関するクレーム中の構成要件(element)は、その構造(structure)、材料(material)、動作(act)で記述することなく、その構成要件が奏す機能を手段(means)もしくは工程(step)として記載することができる」と規定している。そして、このクレーム(meansクレーム)の権利範囲は、「明細書に記載された対応する構造、材料、動作およびその均等物を含むもの」とされている。meansクレームは、構造等を特定せずクレーム化が可能なため、一見広い権利範囲を得ることができるように思われがちである。しかし全く逆に、期待するほど権利範囲は広くないという意見もある。また最近の特許侵害事件をみると、meansやstepという用語を用いていないクレームであっても、112条6項の適用のもとで権利範囲が特定されているケースが多々見受けられる。近年の技術のソフト化に伴い、構成要件を特定のハードウエアではなく、特定の機能を実現する手段で表現すること(すなわちmeansクレームで記載すること)が多くなってきている。従って、出願および権利行使のいずれの局面においても、112条6項の適用の最新動向を十分把握しておくことが重要である。本稿では、112条6項の適用についてCAFCがどのような判断を下しているかを最近の事件を下に検証し、クレーム、明細書を作成する上での留意点、さらには特許侵害事件における留意点について検討した。
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