抄録 |
「コンテンツ」という言葉が、いわゆる業界内で広く使われるようになったのは比較的新しいことと認識しているが、とくにテレビの世界では、これを「番組」と呼ぶのが一般的であった。基本的に放送を業とするテレビ局にあっては放送に用いる「コンテンツ」は「番組」である。しかし、「番組」が放送だけではなく多角的に利用される時代になって「1ソフトマルチユース」という表現に代表されるように「ソフト」という呼称が登場し、このところ「コンテンツ」もさして耳新しくはなくなりつつある。いわば局内には「番組」「ソフト」「コンテンツ」が混在している。もはや単に地上波放送だけを業としていたのではテレビ局も成り立たない実情を象徴する一つの現象かもしれない。昨年のフジテレビの新入社員研修では、ある局長が「フジテレビからテレビという会社名が消える日」と題して講演し、テレビ局の将来のあるべき姿を示唆した。とは言うものの、現在もおそらく将来もフジテレビにとって地上波による放送が根幹であることに変わりはない。思いがけなくも本誌に執筆の機会を与えられたので、とかく「複雑で解かりにくい」と言われるテレビ放送番組の制作、放送および二次利用にかかわる仕組みについて、実務面の権利処理を中心に説明をさせていただく、いくらかでも参考になれば幸いである。 |