抄録 |
本件は、竜と洋剣をあしらったいわゆる「ドラゴンキーホルダー」を製造販売している原告が、同種商品を販売している被告に対して、被告商品の販売行為が不正競争防止法2条1項1号の「主体混同諾起行為」及び2条1項3号「商品形態模倣行為」に該当するとして、差止め及び損害賠償等を請求した事案である。第一審判決(東京地裁)は、原告商品形態の周知表示性を認めず「主体混同諾起行為」に係る請求については理由のないものとしたが、被告商品は原告商品の形態を模倣したものであることを認め、「商品形態模倣行為」に係り、差止請求及び損害賠償請求には理由あるものとしている。控訴審(東京高裁)は、第一審判決を不服とする被告により控訴されたもので、その判決では、被告商品と原告商品の酷似性が否定され、被告の行為は「商品形態模倣行為」には該当しないとして第一審判決は取り消され、原告の請求は棄却された。本件第一審判決は、改正不正競争防止法に新設された2条1項3号の規定に係る最初のもので、「商品形態模倣」の法律的な考え方を示すものとして注目された。控訴審判決は、第一審判決の法律的考え方を肯定したが、具体的な「模倣」の適用についてはこれを否定しており、その点で、法律適用の判断に際し、今後のリーディングケースになるものと考えられる。 |