「知財管理」誌

Vol.48 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 48巻(1998年) / 10号 / 1555頁
論文区分 論説
論文名 産業発展に対する均等論のインパクト―米国産業界の見解について―
著者 眞壽田順啓
抄録 我が国最高裁は、均等論に関して初めての判決を言い渡したが、この判決は、今後の我が国の技術開発のあり方を方向付けるとともに、日米の制度調和を一層進展させたという観点からも大きな意義がある。一方、均等論の適用に際しては、米国産業界には、産業分野により異なる意見が存在している。例えば、バイオ及び化学分野においては、均等論は発明の保護に必須であるとして、均等論の一層積極的な適用を望んでいるのに対して、自動車産業等のように多数の技術革新が累積して技術発展を生じている分野では、均等論は例外的に適用し、権利解釈の確実性がより望ましいとしている。現在、我が国では、知的創造サイクルの確立、発展に向けて種々の方策が採用されているが、同サイクルの権利取得、活用という局面においては、このような技術分野の特性に配慮して均等論を適用すること、及び、米国のバイオ分野にみられるように、官民一体となって均等論を積極的に適用することにより、ベンチャー企業の育成を含め、より強力な産業競争力を有する産業を育成することが必要である。
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