「知財管理」誌

Vol.47 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 47巻(1997年) / 9号 / 1295頁
論文区分 判例と実務シリーズ
論文名 No.232 包装材料ヒートシール装置事件
著者 田中成志
抄録 原告は、「包装材料をヒートシールする方法及び装置」の発明について特許権者であり、被告装置が本件特許権を侵害するとして、その製造販売の差止等を求めた事案である。本件特許の特許請求の範囲の記載は「ほぼ矩形の平らな先端面を有する突条」であり、文理解釈上は、突条の先端面がほぼ円弧状である被告装置はこれに該当しない。本件特許の特許請求の範囲における突条の形状は当初は無限定であったが、フランス公報記載の公知技術によって新規性がないとして拒絶査定がなされたため、本件発明は「ほぼ矩形の平らな先端面を有する突条」を有するものと限定し、その作用を強調して、登録された経緯がある。すると本件発明における「ほぼ矩形の平らな先端面を有する突条」とは、その出願の経緯からしても、まさに「ほぼ矩形(ほぼ長方形)の平らな先端面を有する突条」を意味するものであり、「ほぼ円弧状の先端面」の被告装置の突条等をこれに含めるように拡張的な解釈をすることは出願の経緯に照らして許容しえないとして、原告らの請求を棄却した。侵害訴訟における特許発明の技術的範囲の解釈、特に出願経過の参酌について、本件判決を素材として検討する。
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