「知財管理」誌
Vol.47 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 47巻(1997年) / 8号 / 1121頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ |
論文名 | No.231 知的所有権紛争についての和解契約の対象範囲と、その解釈― 同時伸線装置事件 ― |
著者 | 内藤義三 |
抄録 | 原告は「多数本同時伸線装置」について実用新案権(旧法)を有しており、被告がイ号、ロ号、ハ号の各装置を使用、譲渡しているとして、その差止及び損害賠償を請求した事案である。 被告は、イ号装置が考案の技術的範囲に属することは認めたが、ロ号、ハ号については技術的範囲に属さないと主張し、イ号については訴外A社より購入したもので、A社は原告に補償金を支払っているので、侵害ではないと主張した。 原告はロ号装置が技術的範囲に属さないとしても、被告はロ号装置をイ号装置に改造して使用、譲渡するおそれがあると主張した。 裁判所は、ロ号、ハ号については技術的範囲に属さないとし、ロ号装置をイ号装置に改造するとは考えられないとした。そして、問題の補償金については、その交渉の状況から見て、原告とA社の間におけるノウハウ等の紛争解決のためのものであって、本件実用新案件についての実施料の趣旨を含むものではないと判断し、イ号について、損害賠償の支払を命じた。 なお、以上の外にも、損害額算定にあたっての寄与率の評価等いくつかの争点があるが、その問題は本稿では省略する。 |