「知財管理」誌
Vol.47 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 47巻(1997年) / 5号 / 703頁 |
論文区分 | 資料 |
論文名 | 周知商標の保護に関するWIPO専門家会議出席報告 |
著者 | 田村章将 |
抄録 | 昨今の国際的経済情勢をかんがみれば、周知商標保護の必要性について異論を唱える向きは少ないように思われる。しかし、実際の方法論となると先進国と途上国、社会主義国と資本主義国、使用主義国と登録主義国等の複雑な意見対立が生じるのが現実である。先進国の中でさえ様々な利害衝突が存在する。 しかしながら、パリ条約第6条の2(周知商標の保護)を補完する条項を含むTRIPS協定及び商標法条約並びに米国連邦ダイリューション法をはじめ各国での周知商標保護の法制度化が進んでいることからもうかがい知ることができるように、最近、周知商標保護の機運が高まっていることを背景として、WIPOは周知商標保護に関し、何らかの国際的取決めが必要と考え、専門家会議を設置することを決定した。第1回専門家会議の討議を踏まえてWIPOが作成した条文形式のメモランダムを検討するため、今回の第2回専門家会議が開催され、議論百出で論点がかなり顕在化した。WIPOはメモランダムをさらに改定し、1997年後半に第3回専門家会議を開催することにしたが最終的結論を得るにはまだまだ紆余曲折がありそうである。合意が得られたとしても、どのような場で採択するかが次の問題点として控えている。当協会としては総論賛成の立場から会議に積極的に参加し意見表明を行っている。 |