「知財管理」誌
Vol.47 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 47巻(1997年) / 3号 / 347頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 均等論に関する一考察(その2)(完)― 我が国における均等論の今後の在り方1 ― |
著者 | 特許委員会第2小委員会 |
抄録 | いわゆる[均等論」の適用は、権利の保護範囲の画定作業の一つである。かかる均等の判断手法について、最近の判例を鑑みると、日米独において、ハーモナイズされているといえる。一方、均等の判断時点は、基本的には侵害時とすべきであるが、出願時における特許発明の技術的思想と全く別異の思想からなる発明を均等から除外すべきと考える。換言すれば、「置換可能性」について基準時を「侵害時」「置換容易性」についての基準時を「出願時」として判断すべきである。「不完全利用」や「迂回発明」という概念は、「構成要件説」の観点から、法的安定性を侵害する結果を招来することが多いので、原則的には容認すべきでない。しかしながら、これらの、[実質的解釈論」や「均等論」と同様に明細書の不備を補う主張であって、訴訟技術に関するかかる主張をしたというだけで裁判所において門前払いされるべきではなく、均等論の趣旨を類推適用し、適切な技術的範囲を画定すべきである。 |