「知財管理」誌
Vol.47 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 47巻(1997年) / 2号 / 209頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ |
論文名 | No.225 医薬品の特許期間満了前に行う後発品についての臨床試験と特許権侵害の問題― 塩酸チアプリド事件 ― |
著者 | 草間攻 |
抄録 | 抗告人は、相手方らが行った特許期間中における後発品の申請のための臨床試験の実施を侵害であるとして、特許権侵害差し止めを求めた事案である。原審の富山地裁は、後発品の申請のための臨床試験及びこれに供するための製剤の製造は、特許法第68条にいう「業として」の実施にあたらないから、同法第69条1項の規定をまつまでもなく特許発明の実施に該当しないとした。 抗告審の名古屋高裁金沢支部は、相手方らの行為は「業として」行われたものであるとして、原審決定を取り消すとの決定をした。 後発品の申請のための臨床試験が法69条1項の「試験又は研究」に該当するか、「業として」の実施に該当するかはいまだ議論の余地がある部分である。特に医薬品の製造承認申請には政府規制による特殊事情があり、はたして特許法だけの解釈で判断ができ得るものか検討した。 |