「知財管理」誌
Vol.47 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 47巻(1997年) / 1号 / 39頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許侵害事件における事実認定に問題は無いか― 無限摺動用ボールスプライン軸受事件 東京高裁判決に関する検討 ― |
著者 | 服部榮久 |
抄録 | 本判決は最近の「均等」についての論議の中でしばしば引用されているが、その詳細を検討して見ると、「均等論」そのものには格別目新しい所は無く、巷間に流布されている論説と何ら選ぶ所が無い反面、事実問題の判断に関しては極めて多くの問題を孕んでいる事がわかった。しかし、今迄発表された多くの先生方の論説にはその点に正面からとり組んだものが見当たらないので、浅学の誹りを受ける事を覚悟の上で、あえて私の見解を述べる事とした。判決の基礎となる事実の認定につては自由心象主義が採られていると言うが、勿論恣意的判断を容認しているわけではないと思う。その成立に疑う余地の無い特許公報に開示された技術内容を恣意的に取捨選択することによって、結果として問題のある結論が導き出されているのではないかという点につき問題提起したい。 |