専門委員会成果物

韓国/商標法改正

 韓国商標法が全部改正され、2016年9月1日から施行された。重要な改正点は以下の通り。
  1. 商標の定義規定の整備
    「商標」は自他の商品を識別するために使用する標章、「標章」は記号、文字、図形、音、匂い等、その構成又は表現方式に関係なく商品の出所を示すために使用する全ての表示とそれぞれ定義することにより商標の定義を明確にし、さらに代表的な標章の類型を例示列挙する。
  2. 不使用取消審判制度の変更
    不使用取消審判の請求人適格が「利害関係人」から「何人でも」に拡大される。取消審決が確定した場合は、審判請求日まで遡及して商標権が消滅する。
  3. 不登録事由の判断時点の変更
    商標出願の不登録事由の判断時点が、原則として登録可否決定時に変更された。これにより、出願時に抵触する先登録商標が、登録可否決定時までに消滅、または出願人に譲渡されている場合、出願人は商標登録を受けることが可能となる。
  4. 条約当事国*の登録商標に対する不正出願防止規定の整備
    現行法の条約当事国の商標権者の同意のない商標登録を制限する出願人の範囲が「代理人もしくは代表者」から「共同経営・雇用等契約関係もしくは業務上の取引関係又はその他の関係にあり、もしくはあった者」に拡大される。
  5. 商標権消滅後の出願禁止期間に関する規定の削除
    現行法では、商標権消滅後1年間は他人の出願を禁止しているが、改正法では当該規定が削除され、1年間の期間経過を待たずに出願が可能となる。
* 韓国特許庁の商標審査基準において「『条約当事国』とは、パリ条約当事国のみならず、WTO会員国、商標法条約
 締約国を含み、その他に多国間又は二国間条約の当事国も含まれる」 と規定されている。

(NGB、他)   

メキシコ/異議申立制度の導入

 2016年8月30日より異議申立制度が施行された。異議申立制度の概要は以下の通り。
  1. すべての出願は、出願日より10営業日以内に公報に公告され、何人も公告日から1ヵ月以内に異議申立書を提出することができる。
  2. 1ヵ月の異議申立期間の満了後に、異議申立を受けた出願は、10営業日以内に公報に公告され、当該出願人は、当該公告日から1ヵ月以内に異議申立に対する答弁書を提出することができる。 答弁書を提出しなかった場合でも、異議申立を黙認したと看做されることはない。
  3. 異議申立手続は、単独では審理されない。異議申立を受けた出願は、通常の審査手続が保留されることなく、異議申立人の異議理由及び出願人の答弁に関しては通常の実体審査の中で検討される。
  4. 当該出願が拒絶された場合、産業財産局は異議申立人に対して当該出願の拒絶を通知する。当該出願が登録された場合も、産業財産局は異議申立人に対して当該出願の登録を通知する。
  5. 当該出願が登録された場合、異議申立人は不服申立を提起することはできないが、当該登録商標に対して取消請求を提起することができる。

(NGB、他)   

タイ/商標法改正

  2016年2月18日付で商標法の改正が採択され、7月28日より施行された。主な改正点は以下の通り。
  1. 音商標の追加
  2. 一商標多区分制度の導入
  3. 連合商標の廃止
  4. 識別力を欠く標章に関する使用証拠の変更(使用による識別力を立証できる標章タイプの制限撤廃)
  5. オフィスアクションに対する応答、審判請求、異議申立等の手続き期限の短縮(90日→60日)
  6. オフィシャルフィーの変更(一律料金を一部導入)
    出願:各区分1〜5商品・役務=THB1,000/商品・役務、6商品・役務以上=一律THB9,000加算
    登録:各区分1〜5商品・役務=THB600/商品・役務、6商品・役務以上=一律THB5,400加算
    更新:各区分1〜5商品・役務=THB2,000/商品・役務、6商品・役務以上=一律THB18,000加算
  7. マドリッド・プロトコル加入に向けた国際登録に関する規定の追加
  8. 出所混同の意図をもって他人の商標等が表示された包装等を使用する者に対し罰則適用

(NGB、他)   

ケイマン諸島/商標登録維持年金の納付に関する制度変更

 2016年8月1日から、今まで認められていた複数年度分の年金の一括前払が不可能となった。今後は毎年一年度分のみの年金を、納付期限年の1月1日以降、翌年3月31日までに支払う必要がある。なお、当該3月31日を過ぎて年金を支払う場合は遅延金が必要となる。

(NGB、他)   

バーレーン/オフィシャルフィーの値上げ

 GCC商標法の施行規則を承認する省令により、2016年5月29日から商標に関するオフィシャルフィーが大幅に値上げされた。値上げ対象となったのは、出願料、公告料、登録料等であり、値上げ後の料金は同日以降の新規出願及び出願中の商標に適用される。

出願:USD265
公告:USD132
登録:USD1,325

(NGB、他)   

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