専門委員会成果物

中国/出願審査手続きに関する新措置

 中国商標局は2016年3月24日、出願人の利便性向上のため、出願審査手続について以下7つの措置を採用する旨を中国商標局サイト上にて発表した。
http://sbj.saic.gov.cn/sbyw/201603/t20160324_167498.html
  1. 「商標登録出願に関するガイドライン」公表
     商標登録出願の受理業務、改正後の商標法および商標実施条例に基づく新たな問題点を整理してFAQを編纂し、中国商標局サイト上で公表する。
    http://sbj.saic.gov.cn/sbsq/sqzn/201603/t20160321_167366.html
  2. 一部商標業務における提出書類の公証不要
     肖像あるいは有名人の氏名を商標態様とする商標の出願、登録、譲渡、住所変更等手続について提出する証拠書類について、従来必要とされた公証を不要とする。
  3. 補正通知書内容の詳細化
     中国商標局は、出願人が補正し易いように、より具体的な内容の補正通知書を作成する。
  4. 複数の異議案件における証拠資料の援用
     証拠資料が完全に共通する同月内に提出された複数の異議申立案件においては、当事者は1件目において全ての証拠を提出した場合、以降の案件において同証拠材料を再度提出 しなくても良い。ただし、その場合は、証拠資料が所在する案件の番号(「被異議商標初歩審定番号」または「商標局異議収文号」)を目立つ箇所に明記しなければならない。
  5. 異議申立審理の併合対象の拡大
      当事者が共通し、異議の対象になる商標の態様が同一であり、更に共通する証拠資料を使用する異議申立案件、また、同じ当事者が相互に異議申立している案件については審理を 併合する。当事者に他の理由がある場合にも、当事者が併合審理の申請を行い、中国商標局が併合の条件を満たすと認定する場合は審理を併合する。
  6. 登録商標に関する早期手続ルート設置
     「緊急、又は重大な理由」により、商標の変更、譲渡、更新等の手続を早期完了させる必要がある場合、手続申請人は早期手続の申請書と事情を証明する資料を提出することができる。 中国商標局が条件を満たすと認定する場合は早期審査が行われ関連業務の処理時間を短縮することができる。
  7. 中国商標局サイトのユーザーエクスペリエンス改善
     サイト上の各コンテンツの配置を改善し、情報をタイムリーに更新する。また、商標データベースの安定性を向上させ、経過情報の追加などステイタス情報調査機能を充実させる。

(中国商標局)

中国/登録証発行の遅延解消

 中国商標局は2016年4月7日付の同局公式サイトにおいて、滞積していた商標登録証を5月末までにすべて発行することを公表した。
2016年3月28日から局内において登録証の印刷・発行を進めていることを発表し、権利者へ謝罪の意を表した。

(中国商標局)

インド/異議申立及び取消請求に関する調停手続の導入

 インド特許意匠商標総局は、異議申立等の審判遅延解決のため、DELSA(Delhi State Legal Service Authority)と連携し、デリー商標局の紛争案件に調停・斡旋手続を 導入した。2016年2月19日付の告示では試験的に500件の未決案件が適用されていたが、2016年3月31日付の告示において全ての未決案件が適用され、調停・斡旋手続に合意する場合は、 利害関係人は告示日から30日以内(2016年4月30日まで)にその旨の申請を受け付けるとした。調停等手続に合意した案件はDELSAに移送され、1987年法律サービス庁法に基づき調停が 行われることとなる。
 なお、今回の告示では、デリー商標局以外の商標局(ムンバイ、コルカタ、チェンナイ、アーメダバード)の案件は対象外となっており、注意が必要である。

(インド特許意匠商標総局)

インド/商標登録出願の大量みなし放棄命令の停止

 インド特許意匠商標総局(以下、商標局)は、出願人等への通知なしに大量の商標出願に対してみなし放棄命令を出していたが、デリー高等裁判所は2016年4月5日、 2016年3月20日以降に発せられた全ての放棄処分193,908件について、停止するとの判断を下した。加えて、このような事態が起こらないよう、法律に規定された手続きを行わずに放棄処分を行うことも禁じた。
 これを受けて商標局は2016年4月11日付通知において、2016年3月20日以降発せられた放棄命令を停止すると公告した。
http://ipindia.nic.in/iponew/publicNotice_11April2016.pdf

 上記は2016年3月20日以降にみなし放棄された案件が対象となるため、3月1日から3月19日にみなし放棄された案件は、26,438件あり、こちらは依然として注意が必要である。

(JETRO、他)

イラク/商標法施行規則改正

イラク商標局は2016年3月3日,改正商標法施行規則を施行した。重要な変更点は以下の通り。
  1. 出願前調査制度の導入
      商標局に対して,商標出願前にオフィシャルサーチを申請することが義務付けられた。申請後10営業日以内に調査報告を受け取ることができる。これにより,審査遅延の解消が 期待される。
  2. アラビア語音訳併記の廃止
      これまでアラビア語以外の外国文字商標は,アラビア語の音訳を併記する必要があったが,改正により併記が不要となった。
  3. 各種変更登録申請の手続き変更
      名義変更申請等の必要書類の原本を申請時に提出しなければならず,申請後の補充提出が認められなくなった。

(イラク商標局)

Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.