専門委員会成果物

カナダ/ニース国際分類に基づく商標出願の受付開始

 カナダ知的財産庁(CIPO)は、2015年9月28日よりニース分類に基づく指定商品・役務の区分制度を採用した商標出願の受付を開始した。これに合わせて、同日付で同庁における商標データベース、指定商品・役務マニュアル、電子出願システム等のオンラインツールもアップデートされている。なお、今回のニース分類の導入は任意選択制であり、出願人が区分制度に慣れることを主目的として、正式な法改正に先行して行われたものである。

(カナダ知的財産庁)

アメリカ/指定商品・役務の自発補正に関するパイロット・プログラム実施

 2015年9月1日より、米国特許商標庁は、技術革新により、商標登録されている指定商品・役務の表現では実際に販売又は提供されている商品・役務が保護されなくなった場合に、当該商標の保有者に対して指定商品・役務の自発補正を認めるパイロット・プログラムを開始した。
 この指定商品・役務の自発補正は、指定商品・役務の表現の根本的内容や主要部分を消費者に販売又は提供する方法又は媒体が技術革新によって変化したために補正が必要と判断され、登録されている指定商品・役務の表現では当該登録商標の使用を立証できない場合にのみ認められる。
 なお、本パイロット・プログラムの実施期間は、今後の申請件数次第で決定されるため現在は未定。

 米国特許庁は認可される自発補正として下記のような具体例を公表している。

  • phonograph records featuring music in class 9
     => musical sound recordings in class 9
  • prerecorded video cassettes in the field of mathematics instruction in class 9
     => video recordings featuring mathematics instruction in class 9
  • floppy discs for computers for word processing in class 9
     => providing on-line non-downloadable software for word processing in class 42
  • downloadable software for use in database management in class 9
     => software as a service (SAAS) services featuring software for use in database management in class 42
  • printed books in the field of art history in class 16
     => downloadable electronic books in the field of art history in class 9
  • telephone banking services in class 36
     => on-line banking services in class 36
  • entertainment services, namely, an ongoing comedy series provided through cable television in class 41
     => entertainment services, namely, an ongoing comedy series broadcast via the Internet in class 41

(NGB、他)

台湾/景品における使用も商標使用と認められた例

 台湾知的財産裁判所は、103年(西暦2014年)行商訴字第140号判決(商標「VALENTINO」の不使用取消事件)において、景品に商標を付して提供する行為を商標使用と認めた。

 台湾商標法は第5条において商標の使用について規定しており、従来「販売の目的」は有償の行為に限定され、したがって無償である景品における使用は商標の使用と認められないと考えられていた。

第5条
 商標の使用とは、販売を目的として、しかも次に掲げる各号のいずれかに該当し、関連する消費者にそれが商標であると認識させることができることをいう。
1. 商標を商品又はその包装容器に用いる。
−2号以下省略−

 本判決において、商標権者の行為(一定金額以上購入した消費者に「VALENTINO」を付した香水を提供)は、消費者に商標を認識させ、当該香水が市場で販売されているとの情報を伝え、商標に出所表示機能を発揮させたため、商標法第5条でいう「商標使用」に該当するとされた。

(現地代理人情報)

台湾/公序良俗を害する商標の審査基準制定・施行(2015.5.11)

 台湾特許庁(TIPO)は、「商標妨害公共秩序或善良風俗審査基準」(「公序良俗を害する商標に関する審査基準」)を制定し、商標の登録が公序良俗を害するか否かの判断基準を 以下の類型を挙げて明確化した。尚、それぞれ具体例も例示されている。
(http://www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=549671&ctNode=7048&mp=1)
  1. 犯罪、暴力、テロ、反乱を招く、又は社会秩序を乱す恐れがある。
  2. 国家民族の尊厳を脅かす。
  3. 宗教の尊厳を脅かす。
  4. 特定のコミュニティ又は団体の尊厳を脅かす。
  5. 特定の人物の尊厳を脅かす。
  6. 人に恐怖の念を抱かせる又は迷信を信じさせることで、心身の健康に影響を与える。
  7. 風俗を乱す、猥褻、低俗、下品な言葉又は図形。
  8. 著名な歴史上の人物又は近代の著名な故人の肖像又は名称。
  9. 著名な歴史小説の虚構の人物の名称。
  10. その他公共の利益に反する、又は倫理・道徳観を破壊するもの。

(台湾特許庁)

中国/オフィシャルフィーの値下げ

 2015年10月15日より、中国において商標出願に関するオフィシャルフィーが値下げされた。新料金は以下の通り。
  • 出願(1区分あたり) RMB800.00→RMB600.00
  • 10を超える指定商品・役務(1個あたり) RMB80.00→RMB60.00 
 

(中国商標局)

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