専門委員会成果物

2019年におけるIP5による特許付与件数は5.9%増加

 2021年1月14日,欧州特許庁は,2019年におけるIP 51)の特許統計報告についてEPOのwebサイトでコメントした2)
 上記の特許統計報告は,欧州特許庁(EPO),日本国特許庁(JPO),韓国特許庁(KIPO),中国国家知識産権局(CNIPA),米国特許商標庁(USPTO)が公表している特許統計を毎年まとめたものである。
 IP 5のwebサイト3)で発表された最新の特許統計報告(IP5 Statistics Report 2019)4)によると,IP 5では,2019年に160万件の特許権を付与しており,これはその前年(2018年)から5.9%の増加であった。
 特許庁別では,2018年と比較して,USPTO(+15.2%),EPO(+8.0%),KIPO(+5.6%),CNIPA(+4.8%)で増加した一方,JPO(−7.5%)では減少した。
 EPOの特許付与件数は,2018年では128,000件未満であったものから,2019年では138,000件近くにまで増加した。
 また,IP 5全体の特許出願件数では,2019年に270万件が出願されており,これは2017年の水準ながらも2018年から4.0%の減少であった。
 特許庁別では,2018年と比較して,KIPO(+4.3%),EPO(+4.1%),USPTO(+4.1%)で増加した一方,JPO(−1.8%),CNIPA(−9.2%)では減少した。
 EPOの特許出願件数は,2018年では174,000件であったものから,2019年では181,000件にまで増加した。
 また,EPOが最初のアクション(サーチレポート及び特許性に関する見解書)を発行するまでの平均係属期間(EPOへの最初の出願から拡張欧州調査報告又は国際調査報告が完了するまでの平均期間)は,6.5カ月から5.5カ月に減少し,最後のアクション(審査部による許可又は拒絶の最終決定)を発行するまでの平均係属期間(審査部に移管されてからFinal Actionまでの平均期間)は,31.8カ月から28.1カ月に減少した。この進展は,EPOの品質及び効率化の戦略の下で実行された改革によるところが大きい。この改革では,審査業務が優先され,生産性が向上した。
 IP5 Statistics Report 2019には,2018年までのWIPO及び世界中の特許庁からの包括的なデータだけでなく,特許付与手続の類似点や相違点,IP 5の発展についても触れられている。
 2018年末の時点で,世界中で効力を有する1,390万件の特許のうち91%が,IP 5の管轄のいずれかで有効であった。
 IP 5は,2007年以来,相互に連携した成果物・サービスを提供することにより,世界規模での特許システムの効率化や質の改善に向けて協力してきた。
 EPOは,2021年3月に2020年の特許統計(Patent Index 2020)を公表する予定である。

注 記

  1. IP5(五庁)
    https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/ip5/index.html
  2. EPO-Patent grants up 5.9% at IP5 offices in 2019(14 January 2021)
    https://www.epo.org/news-events/news/2021/20210114.html
  3. fiveIPoffices-IP5 co-operation
    https://www.fiveipoffices.org/index
  4. fiveIPoffices-IP5 Statistics Report 2019 Edition
    https://www.fiveipoffices.org/statistics/statisticsreports/2019edition

(参照日:2021年1月19日)    

(横山 卓見)

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