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専門委員会成果物
PTABがAIA手続きを開始すると判断することに財務的な利害関係はなく,正当な法手続きに違反しないと判断された事例
CAFC判決 2021年10月13日Mobility Workx, LLC v. Unified Patents, LLC
[経緯]
Mobility Workx, LLC(M社)は特許8,213,417号(’417特許)を保有していた。M社はT-MobileとVersion Wirelessを相手に’417特許を侵害したとして地裁に提訴した。Unified Patents, LLC(U社)はIPRを申請し,PTABはクレームは自明であると判断した。M社はこの決定を不服として控訴した。
M社は控訴に際し,AIA下でのUSPTOの構造について,法的な異議を提起した。M社は,第1に,PTABは料金を得て資金調達し活動を安定化させるためにAIA手続きを開始することに利害関係を有する,第2に,行政法判事は活動評価とボーナスを得るためにAIA手続きを開始することに財務的な利害関係を有する,と主張した。
第1に,M社は,AIAレビューの収益構造が,PTABが料金を回収し機関へ資金を供給するためにAIA手続きを開始する誘惑を生み出していると主張した。M社は,料金回収が実質的な収益を生んでおり,PTABが回収するうちの24%がAIA手続きの開始によって得られているとした。
これに対しCAFCは,次のように説明しM社の主張を否定した。USPTOは,年間の料金回収額に基づいて議会から年間の資金を供与される機関である。USPTO長官が,諮問委員会と協議して行政管理予算局にUSPTOの予算を要求する責務を持っている。USPTOの予算は大統領によって提示され,議会により設定されるものであり,議会はUSPTOが回収した剰余金を,USPTOが利用できるようにするかUSPTO以外に充当することが可能である。
第2に,M社は,IPR手続きを開始することがボーナスの形で行政法判事の報酬となるため,判事の違法な利益獲得につながると主張した。
これに対しCAFCは,次のように説明した。判事の評価は扱った決定の数に基づいており,決定の結果には依存しない。M社の主張する額のボーナスを受けるには少なくとも年間84件の案件を稼がなければならない。判事はAIAでない手続きをも扱うことができ,84件に見合うに十分なAIA以外の手続きがあることをM社は考慮していない。それゆえ,AIA手続きを開始することにインセンティブがあったとしても,そこで判事が手にする利益が正当な法手続きに違反しているとするにはほど遠い。
M社は控訴に際し,AIA下でのUSPTOの構造について,法的な異議を提起した。M社は,第1に,PTABは料金を得て資金調達し活動を安定化させるためにAIA手続きを開始することに利害関係を有する,第2に,行政法判事は活動評価とボーナスを得るためにAIA手続きを開始することに財務的な利害関係を有する,と主張した。
[CAFCの判断]
CAFCは,M社の異議を認めなかった。第1に,M社は,AIAレビューの収益構造が,PTABが料金を回収し機関へ資金を供給するためにAIA手続きを開始する誘惑を生み出していると主張した。M社は,料金回収が実質的な収益を生んでおり,PTABが回収するうちの24%がAIA手続きの開始によって得られているとした。
これに対しCAFCは,次のように説明しM社の主張を否定した。USPTOは,年間の料金回収額に基づいて議会から年間の資金を供与される機関である。USPTO長官が,諮問委員会と協議して行政管理予算局にUSPTOの予算を要求する責務を持っている。USPTOの予算は大統領によって提示され,議会により設定されるものであり,議会はUSPTOが回収した剰余金を,USPTOが利用できるようにするかUSPTO以外に充当することが可能である。
第2に,M社は,IPR手続きを開始することがボーナスの形で行政法判事の報酬となるため,判事の違法な利益獲得につながると主張した。
これに対しCAFCは,次のように説明した。判事の評価は扱った決定の数に基づいており,決定の結果には依存しない。M社の主張する額のボーナスを受けるには少なくとも年間84件の案件を稼がなければならない。判事はAIAでない手続きをも扱うことができ,84件に見合うに十分なAIA以外の手続きがあることをM社は考慮していない。それゆえ,AIA手続きを開始することにインセンティブがあったとしても,そこで判事が手にする利益が正当な法手続きに違反しているとするにはほど遠い。
(若嶋 葵)