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〈中国〉知的財産権強国建設綱要（2021～2035年）の公表

　中国共産党中央委員会と国務院は９月22日，「知的財産権強国建設綱要（2021～2035年）」（以下，本綱要）を公表した。本綱要は，2008年６月に国務院が発表した「国家知的財産権戦略綱要」（以下，旧綱要）を13年ぶりに更新する中国知財政策の長期計画である。
　本綱要では，中期（５年）と長期（15年）それぞれについて目標が提示されており，本綱要の個別項目として，下記が記載されている（詳細な内容については一部抜粋）。

社会主義の現代化に向けた知財制度の構築
1. ① 網羅性を有し綿密に構成され内外に調和のとれた法律体系を構築（原文における項目（四），以下同じ）
  - 専利法，商標法，著作権法および植物新品種保護条例を改定
  - 知財権濫用行為を規制する法制度および知財に関連する独禁，不競法などの分野の立法を充実化
  - 知財権の裁判法則に適合する特別手続法の確立と整備検討
  - ビッグデータ，人工知能（AI），遺伝子工学など，新分野・新業態に関する知財立法を加速化
  - 権利侵害に対する懲罰的賠償制度を全面的に確立・実施
2. ② 職責が統一され科学的・規範的で優れたサービスを備えた管理体制を構築（五）
  - 地域の知財戦略を制定・実施，知財強省・知財強市の建設を深化
  - 一流の専利商標審査機関建設プロジェクトを実施，審査の品質・効率を向上
3. ③ 公平公正で科学的な評価をする政策体系を構築（六）
  - 知財権の権益配分メカニズムを整備
  - 保護強化を方向性とする専利商標審査政策整備
  - 著作権登録制度，ネットワーク保護，取引規則整備
  - 知財権政策の合法性と公正競争に関する健全な審査制度を確立
  - 知財権に関する公共政策の評価メカニズム確立
4. ④ 新興分野等に対応し，合理的保護を図るための知的財産制度を構築（七）
  - インターネット分野の知財権保護制度の整備を模索
  - データに関する知財権保護規則の確立を検討
  - オープンソースの知財権と法律体系を整備
国際的に一流のビジネス環境醸成を支える知財保護体系の構築
1. ① 公正・効率的で管轄が科学的で権利の境界が明確で体系の整った司法保護体制を改善（八）
  - インテリジェント法院（智慧法院）の構築
  - 民事，刑事，行政事件の「三位一体」裁判体制の改革推進，事件審理専門化，管轄集中化および手続き集約化の裁判体系構築
  - 知財裁判官の専門的な訓練と職業化選抜を強化し，技術調査官チームの養成を強化
2. ② 便利で効率的，厳格で公正，オープンで透明な行政保護体系を整備（九）
  - 統一的・協調的な法執行基準，証拠規則と事例指導制度を確立
  - 知財権侵害紛争の検査，鑑定業務体系を確立
  - 専利権侵害紛争の行政裁定制度に注力
3. ③ 統一的指導の下，スムーズな連動，迅速で効率的な協調保護構造を整備（十）
  - 行政機関と司法機関の職責権限と管轄範囲を明確にし，知財権の行政保護と司法保護の連携メカニズムを整備し，保護のための協力を醸成
  - 知財権仲裁，調停，公証，鑑定および権利擁護支援体系を確立
革新的な発展を奨励する知財市場の運営体制の構築
1. ① 企業を主体とし，市場を指向とする質の高い創造体制を整備（十一）
2. ② 効率的かつ順調に実行され，価値が十分に実現される運用体制を整備（十二）
  - 専利集約型産業の育成を強化し，専利集約型産業調査体制を構築
  - 地域発展，政府が投資する重大な経済・科学技術プロジェクト，戦略的新興産業，未来産業の発展における専利導航（ナビゲーション）の役割を積極的に発揮
  - 知財権取引価格統計発表体制を構築
3. ③ 規範的で秩序のある，活力に満ちた市場化運営体制を構築（十三）
大衆にとって利便性のある知財公共サービス体系の構築
1. ① 包括的でサービスが規範化されスマートで効率的な公共サービスの提供強化（十四）
2. ② 公共サービスの標準化，規範化，ネットワーク化の建設を強化（十五）
3. ③ データを標準化し，資源を統合し，効率的に利用される情報サービスモデルを構築
  - 知財権データ標準の制定とデータ資源の供給を強化し，市場化・社会化した情報加工・サービス体制を構築（十六）
  - 知財権情報の公開・共有を推進
知財権の質の高い発展を促す人文社会環境の醸成
1. ① 「知識尊重，革新提唱，誠実順法，公平競争」という知財権文化（十七）
2. ② 内容が新規で形態が多様化し融合発展する知財権文化伝達マトリックスを構築（十八）
3. ③ より開放的で，より積極的で，より活力のある知財権人材発展環境を醸成（十九）
知財のグローバルガバナンスへの参加の促進
1. ① 知財権グローバルガバナンス体系の改革と建設に積極的に参加（二十）
2. ② 多国間・二国間の調整・連携された国際協力網を構築（二十一）
  - 国連，世界貿易機関などの国際的な枠組みや多国間体制における協力を強化
  - 「一帯一路」共同建設の国・地域の知財権に係る実務協力の深化
  - 専利と国際標準の制定との効果的な結合を推進

,p>〈参考〉
JETRO ホームページ
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/590066167c6ecc9e.html

知的財産権強国建設綱要（2021～2035年）
http://www.gov.cn/zhengce/2021-09/22/content_5638714.htm

（参照日：2021年12月３日）

（注）｢アジア・オセアニア特許情報｣は，最新とは言えない情報も含め，会員に有用と思われる情報を掲載しています。内容については正確を期したつもりですが，二次情報もあり，必ずしも情報源への確認が充分と言えない場合があります。詳細については会員各位にてご確認下さい。

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