- トップ
- 協会活動
- 専門委員会成果物
- 外国特許ニュース（2021）
- 4月号 アジア・オセアニア（２）
外国特許ニュース
日印特許審査ハイウェイ
インド知財庁に却下される日本申請，受理されるポイントは？（Final）
日印特許審査ハイウェイ（以下，日印PPH）試行プログラム１）における，不受理の状況と回避に向けたポイントについて２），本誌では2020年８月から２回にわたり，お知らせいたしましたが，その後，新たに見えてきた不受理の理由を踏まえ，日印PPH申請が受理されるためのポイントを，改めてお知らせいたします。
- 背景
これまでに，日印PPH申請では，基礎となる日本出願で付与されたIPCが，日印PPHの申請要件３），４）を満たしていたにも関わらず，インド知財庁の審査過程において，技術分類が変更され，結果として，PPH申請の対象外となり，不受理とされるケースが確認されていました。 - 新たな不受理ケースとその理由
その後，既に審査官に配布され，審査着手状態に入っていたため，「インド出願の実体審査が開始されていない」という日印PPHの申請要件を満たさず，不受理とされているケースが多く存在していることも確認されました。
しかし，インド知財庁の特許検索システム５）（Indian Patent Advanced Search System；以下，InPassと称する）では，十分に審査ステータスを確認することができず，審査ステータスのミスマッチによる不受理は，申請者にとって予見性が低く，日印PPHの円滑な運用に向けて解決すべき課題でした。この点について，JIPAでは，2020年10月 JETRO ニューデリー主催のインド知財庁 グプタ長官との意見交換の際に，課題認識を共有すると共に，InPass上で審査ステータスが確認できるよう，システム改善を提案しております。 - 申請不受理の主な理由と回避ポイント
これまでの調査結果を踏まえ，改めて，日印PPHの申請が不受理になる主なケースを整理すると，以下の２点となります。
�／柔糎紊法ぅぅ鵐匹任凌該挫奮�において技術分類が変更され不受理となるケース
�⊃柔糎紊法ご�に審査着手（allotted to examiner）状態であることが判明し，不受理となるケース- �，砲弔い�
申請後に，インドでの審査段階において，技術分類が変更される点は，出願人にとって予見性が低く，現時点において，残念ながら，絶対的な解決策はありません。
しかし，不受理となった案件を調べたところ，日本では，繊維系のIPCが付与されていたものの，インドでの審査段階で，申請対象外となる「化学分野」に分類され，申請要件を満たさなくなった案件が確認されました。
また，日系企業からのインド出願の上位に占める，化学やバイオテクノロジー関連は，2021年２月時点，日印PPHの申請対象から外れています。特に，日系企業からの上位を占めるIPC（A61K（医薬用，歯科用または化粧用製剤），C07D（複素環式化合物），A61P（治療薬系），C07C（非環式化合物または炭素環式化合物）およびC12N（微生物または酵素））に属する発明に係る出願は，日印PPHの申請対象ではない点に留意が必要です。
�，硫麋鬟櫂ぅ鵐箸箸靴討蓮た柔疏阿法じ獣和緲�人と連携するなどして，インドの実務に沿って，日印PPHの対象となりうる案件かどうか，技術分類の見極めを行うことが望ましいと思われます。 - �△砲弔い�
日本政府や，JIPAの働きかけなどを受け，2020年11月より，InPass上で審査ステータスが確認できるようになりました。案件情報が更新されるタイミングなどにより，多少のずれは生じるかも知れませんが，従前と比べ，大幅に不要な手続きを軽減することができると期待されます。
日印PPHを申請する前には，対象とするインド出願が審査着手済みか否かを確認することを推奨いたします。
図１ InPass上でのステータス確認手順 （2021年２月22日時点）
- １）まず，InPassにアクセスし，対象案件情報を入力後，検索する（アクセス先：https://ipindiaservices.gov.in/PublicSearch/）
例）インド出願201647031133の場合
*図をクリックすると拡大されます - ２）画面右端に表示される「Application Status」をクリックする。
*図をクリックすると拡大されます - ３）画面下部に審査ステータスが表示される。本ケースでは，「Under Examination」と表示されており，既に出願が審査官に割り当てられ，審査着手状態に入っていることが分かる。
*図をクリックすると拡大されます
- �，砲弔い�
- 今後の取り組み
InPass上で審査ステータスが確認できるようになりましたが，１点目の「技術分類の変更に伴って不受理となるケース」は，残ったままです。JIPAでは，関係機関と連携しながら，引き続き，日印PPHのより円滑な運用に向けた取り組みを進めて参ります。
注 記
- 日印PPHプログラムの開始について
http://www.ipindia.nic.in/newsdetail.htm?593 - 日印PPH 不受理案件に関する通知
http://www.ipindia.nic.in/newsdetail.htm?662/ - 特許審査ハイウェイ（PPH）に関する手続ガイドライン（仮訳）
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/document/guideline/india_ja.pdf - インド知財庁日印PPHガイドライン
http://www.ipindia.nic.in/writereaddata/Portal/News/591_1_PPH_Procedure_Guideline_combined_20191128_final.pdf - Indian Patent Advanced Search System（InPass）
https://ipindiaservices.gov.in/publicsearch
（注）｢アジア・オセアニア特許情報｣は，最新とは言えない情報も含め，会員に有用と思われる情報を掲載しています。内容については正確を期したつもりですが，二次情報もあり， 必ずしも情報源への確認が充分と言えない場合があります。詳細については会員各位にてご確認下さい。
