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- 4月号 アジア・オセアニア(1)
外国特許ニュース
〈中国〉専利法実施細則改正について
中国国家知識産権局は2020年11月27日に専利法実施細則の改正案(意見公募案)を公開し,2021年1月11日までパブリックコメントを募集した。この改正案は2021年6月から施行される第4次専利法改正にともなうものである。本稿では,今回の専利法実施細則改正に関し,会員企業が中国で権利化および権利維持活動を行う際の方針及び戦略に関連する改正内容について紹介する。
- 権利の回復請求
第6条2項は不可抗力により期限が徒過し,その権利を喪失した場合,2ヶ月以内に権利回復の請求を行うことができる旨が規定されているが,本改正で再審請求期限を徒過した場合でも2ヶ月以内であれば権利回復の請求を行うことができる旨が追加された。また,第6条5項が新設され,国に緊急事態や異常事態が発生した場合の期限の延長や手続きを簡略化することができる旨が規定された。 - 実施許諾の登録と第三者対抗要件
第14条2項は専利実施許諾を得た場合,契約の発効日から3ヶ月以内の届出が必要である旨が規定されていたが,3ヶ月以内という制限が廃止された。ただし,届出がないと第三者に対抗できない旨が規定された。 - 出願人自らによる可能な手続き
第15条の1が新設され,代理人を利用した出願の場合でも,出願人が自ら手続きを行うことができる旨が規定された。出願人が自らできる手続きとして,優先権書類の提出,費用の納付,その他国務院専利行政部門が規定する事項がある。 - 要約書の文字数制限解除
第23条2項は要約書の代表図と文字数の制限について規定されているが,代表図は明細書に添付の図面を指定するのみで別途の提出が不要となる。また,要約書の文字数(300文字)制限が削除された。 - 部分意匠専利の記載要件
第27条2項と第28条3項を新設して,第4次専利法改正に基づき,部分意匠専利出願の規定が追加された。破線と実線を用いること,簡単な説明で保護を受ける部分を明記することなど,記載要件が明確にされた。 - 優先権の回復
第31条の1が新設され出願時に優先権主張をしていない場合でも,発明専利出願または実用新案専利出願の優先権主張期限満了の日から2ヶ月以内に優先権主張の回復手続きをすることができる旨が規定された。 - 意匠専利出願の優先権主張
第32条は優先権主張に関して規定されているが,発明専利出願または実用新案専利出願を基礎として優先権主張に基づく意匠専利出願をすることができる旨が規定された。この場合,基礎となった発明専利出願または実用新案専利出願は取下擬制されない旨も規定された。 - 審査延期請求
第50条2項が新設され,発明専利出願及び意匠専利出願について,審査延期の請求ができる旨が規定された。 - 専利権評価報告書の請求
第56条は実用新案専利及び意匠専利の権評価報告書の作成を請求できる請求人について規定されているが,誰でも請求できる旨が規定された。また,出願人は専利権登録手続きを行うときに評価報告書作成を請求することができる旨が規定された。 - 開放許諾制度の導入
第72条の2から第72条の5が新設され,新たに専利権開放許諾をするときの具体的手続き要件が規定された。ただし開放許諾を宣言した場合における恩恵(特許料の減免など)の規定は改正案には含まれていなかった。 - 職務発明に対する報奨の強化
第76条の1が新設され,職務発明に対する奨励および報酬の支払いについて実施細則中に明記された。 - 専利権存続期間の補償
第85条の2,第85条の3が新設され,発明専利出願の審査遅延による発明専利権期間の補償請求の手続き,出願人に起因する遅延事由が挙げられた。 - 医薬品専利存続期間の補償
第85条の4から第85条の8が新設され,医薬品専利に関する補償について補償条件,第三者の不服申立て手段が具体的に明記された。
〈参考ウェブサイト〉
日本貿易振興機構(ジェトロ)ホームページ
https://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/ip/law/opinion
(参照日:2021年2月18日)
(注)「アジア・オセアニア特許情報」は,最新とは言えない情報も含め,会員に有用と思われる情報を掲載しています。内容については正確を期したつもりですが,二次情報もあり, 必ずしも情報源への確認が充分と言えない場合があります。詳細については会員各位にてご確認下さい。