専門委員会成果物
インターネットにおけるストリーミング配信に関連する特許が特許適格性を欠くと判断した事例
CAFC判決 2017年11月1日Two-Way Media Ltd. v. Comcast Cable Communications, LLC, et al.
[経緯]
Two-Way Media Ltd.(T社)はインターネット上で動画・音声データをストリーミングする方法に関する複数の特許(T社特許群)を保有しており,2014年に「Comcast Cable Communications, LLCが提供しているケーブルTVの番組をコンピュータ上で視聴可能とするサービスはT社特許群を侵害している」と主張して,特許侵害訴訟を地裁に提訴した。地裁は「T社特許群は特許法101条に基づき特許適格性に欠ける」と判示したが,T社はこの判断を不服としてCAFCに控訴した。
[CAFCの判断]
CAFCはAlice最高裁判決(Alice Corp. Pty. Ltd. v. CLS Bank International, 134 S.Ct. 2347 (2014))に基づいて以下の点を判示し,地裁の判断を支持した。まず,CAFCはAlice最高裁判決の2ステップテストに沿って,T社特許群の特許適格性を判断した。CAFCは,ステップ1である「判断対象であるクレームが抽象的アイデアを含むか否か」について, 「T社特許群のクレームは“converting”,“routing”等の機能的な表現を用いているが,単に抽象的アイデアを示しているに留まり,また,実現するための一般的なコンピュータの使い方を提案 しているに過ぎない」として,ステップ1を満たしていないと判断した。さらに,Alice判決のステップ2についても「T社特許群のクレームには,その性質を,特許適格性を有するものに変化 させるような追加要素は見当たらない」としてステップ2についても充足しないと判断した。
(安達 省吾)
