専門委員会成果物
一応の自明性を示した後に二次的考察を考慮した地裁の審理に問題がなかったことをCAFCが示した事例
CAFC判決 2017年９月７日Intercontinental Great Brands LLC v. Kellogg North America Company, et al.
［経緯］
Kraft Food Global Brands LLC（現Intercontinental Great Brands LLC，Kr社）が再封可能な食品包装に関する特許に基づき，Kellogg North America Company（Ke社）に対し特許侵害を地裁に提訴した。地裁では，自明性による特許無効というKe社の主張を認める一方で，特許登録後の再審査手続におけるKr社の不衡平行為による権利行使不能の主張を否定する略式判決が出された。これに対し， Kr社及びKe社がそれぞれCAFCに控訴した。
［CAFCの判断］
CAFCでは，次の判断�，�ら��に基づき自明性に関する地裁の判断を支持した。��KSR最高裁判決（KSR International Co. v. Teleflex Inc. （KSR）, 550 U.S. 398, 82 USPQ2d 1385 （2007））における商業的成功などの二次的考察に関して，地裁が自明性の結論を出した後の “事後評価”として扱ったことは不当とするKr社の主張を否定し，一応の自明性を示した後に二次的考察を考慮して最終的な自明性の結論を出した地裁の審理に問題がなかった。
��公知文献との相違点は，既知の課題に対する解決策としての“当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内”であり，地裁が示した組合せの動機付けに“合理的な根拠に至る明確な推論”が認められない 等のKr社の主張が認められない。
�０貪擔該困嚢洋犬気譴神莵塋幻イ砲茲詭妓�の主張は“負荷の増大”に当たるというKr社の主張に対して，再審査において結論付けた際の文献とは異なる点などから，この主張が自明性の判断を覆す程のものにあたらない。
また，Kr社が，再審査手続中において先行文献に誤記があることを示さなかった行為に対し悪意があったとは結論付けられないという判断から，Ke社が主張した権利行使不能を否定する地裁の判断も支持した。
よって，CAFCは地裁の判決を維持した。
（今村 隆寛）
