専門委員会成果物
PTABによる文言解釈に誤りがあるとして，特許無効の判決を破棄した事例
CAFC判決 2017年７月25日Netlist, Inc. v. Diablo Technologies, Inc.
［経緯］
Diablo Technologies, Inc.が，Netlist, Inc.（Ｎ社）が保有するコンピュータシステムのメモリモジュールに関する特許7,881,150（’150特許）と特許8,081,536（’536特許）に対してIPRを請求した。 このIPRにおいて，PTABは，両特許の一部のクレームは先行技術に対し特許性がないと判断し，これら２件の特許を無効とし，Ｎ社はこれを不服として控訴した。［CAFCの判断］
CAFCは過去の判例に基づき，IPRでは“broadest reasonable construction（最も広い合理的解釈）”によって文言を解釈しなければならないとした。裁判では３つの文言，� �selectively electrically coupling”，�◆�selectively Isolating”，��“circuit configured to be mounted on a memory module”の解釈が争点になった。
まず，両特許に記載されている��について，PTABは“circuitry configured to be mounted on at least a portion of a memory module”と解釈した。これに対しＮ社は，「回路全体」が単一の メモリモジュール上に取付けられなければならず，回路の一部を他の場所に取付けることはメモリモジュールを容易に交換する機能を損なうことになると主張した。
CAFCは，Ｎ社の主張に対し，両特許には「回路全体」がメモリモジュール上に取付けられることが定義されていないと判断した。また，クレームがその特徴を有する実施形態に限定されるという 説得力のある理由をＮ社が示していないと説明し，��の解釈について，Ｎ社の主張を支持せず，PTABによる解釈を支持した。
次に，’150特許に記載されている�，砲弔い�PTABは，“making a selection between at least two components so as to transfer power or signal information from one selected component to at least the other selected component”と解釈した。これに対しＮ社は，“coupling in response to a selection”と解釈すべきだと主張した。
CAFCは，�，脇団蠅離如璽神�を結合又は分離することを意味し，コンポーネントを選択する全プロセスを意味するものではないとし，�，硫鮗瓩砲弔い藤亮劼亮臘イ鮖抻�し，PTABの解釈は誤りだと判断した。
最後に，両特許に記載されている�△砲弔い�PTABは，それぞれに対し異なる解釈を行った。即ち，’150特許では，“making a selection between at least two components and not transferring power or signal information from one selected component to the other selected component”と解釈し，’536特許では，“electrical separation of a selected component from another component”と解釈した。これに対しＮ社は，“isolating in response to a selection”と解釈すべきだと主張した。
CAFCは，PTABが�，慮蹐辰寝鮗瓩亡陲鼎い騰△魏鮗瓩靴燭里如き△硫鮗瓩盡蹐辰討い襪箸靴殖亮劼亮臘イ鮖抻�し，PTABの解釈が誤りであると判断し，両特許に対するPTABの判決を破棄し， 再審理のため差し戻した。
（山田 敬祐）
