専門委員会成果物
コンピュータメモリシステムの向上に係るソフトウエア関連発明は抽象的アイデアに該当せず，特許適格性があると判断された事例
CAFC判決 2017年８月15日Visual Memory, LLC v. NVIDIA Corporation
［経緯］
Visual Memory, LLC（Ｖ社）は，プログラム可能な動作特性を有するコンピュータメモリシステムに関する特許5,953,740に基づき，NVIDIA Corporation（Ｎ社）を特許侵害で地裁に提訴した。 Ｎ社は，上記特許が特許適格性に欠けるとして棄却の申立てを行った。地裁は，抽象的概念を対象にした特許クレームが発明概念を含んでおらず，米国特許法101条の特許適格性を有さないと判断した。これを不服として，Ｖ社はCAFCに控訴した。
［CAFCの判断］
Aliceテストでは，対象となるクレームが米国特許法101条の特許適格性を有するか２段階で判断される。第１にクレームが特許の対象ではない抽象的アイデアを含んでいるか判断される。 第２に，抽象的アイデアを含んでいる場合，特許適格性を有するに十分な発明概念が含まれているか判断される。CAFCは，Aliceテストに従い，問題となったクレームが抽象的アイデアを含んでいないとして，上記特許は米国特許法101条の特許適格性を有すると判示した。
問題となったクレームは，コンピュータが単なるツールとして利用され，抽象的アイデアに相当するプロセスに焦点が当てられているのではなく，コンピュータ機能を向上させることに焦点が 当てられており，明細書中においても技術的改善によってもたらされる効果が開示されていると判示した。
本判決では，問題となった発明がどのように実施されるか具体的に開示されていないとする反対意見が述べられているが，以下３つを理由に否定された。
�）榮探�は，別紙として本発明を実施するための計算コードが記載されたマイクロフィッシュを含んでいる。
�⊆損棆椎粛弖錣蓮な胴馥探�法101条ではなく，米国特許法112条の問題である。
�Ｌ精拿饕罎砲麓損槊磴箸靴謄廛蹈札奪気侶措阿鳳�じてキャッシュの機能を変更できるメモリーシステムが明確に
開示されている。
（濱口 礼雅）
