専門委員会成果物

WIPOが女性発明者に関する統計分析結果を発表

 世界知的所有権機関(WIPO)は,PCT出願における女性発明者に関する新たな統計分析結果を発表した。この分析は,公的に利用可能な氏名辞書を基にして最先端技術を用いて行われている。
  この結果は,PCT出願(2015年)の29%に少なくとも一人の女性発明者を含んでいることを示しており,前回調査(1995年)による結果の17%に対する増加傾向があるものの,性差は依然として残っている。
 このうち,今回の調査結果における大学・研究機関による出願については,約半数となる48%の出願に女性発明者が含まれており,民間企業による出願における28%に対して大きな偏りがある。
  さらに国別の結果に言及すると,韓国(50%)と中国(49%)が最も高く,ポーランド(40%),スペイン(40%),シンガポール(34%)が続いている。逆に,ドイツ(19%),日本(19%),イタリア(18%), 南アフリカ(16%)については女性発明者が含まれる比率が低い。前回調査(1995年)時点からの各国の出願自体の増加件数を考慮すると,PCT出願全体の女性発明者の増加傾向に対して,韓国と中国の2カ国の出願が 大きく貢献している。
 出願人ごとについては,民間企業ではLG化学(71%:韓),ロレアル(69%:仏),ヘンケル(66%:独)のような各国の化学系の企業が最上位に並ぶとともに,韓国企業のサムソン電子(59%), LGエレクトロニクス(56%),中国企業のZTE(51%),ファーウェイ(51%)のように出願件数の多い企業が,女性発明者比率においても上位に挙がっている点に大きな特徴がある。
  技術分野別の結果に言及すると,バイオテクノロジー(58%),医薬品(55%),有機化学(54%),食品科学(51%)の分野において女性発明者が比較的多く,機構部品(11%),輸送機器(13%), 工作機械(14%)エンジン(15%)の分野において比較的少ない。

PCTニュースレター
http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2016/pct_news_2016_12.pdf

WIPO研究結果
http://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo_pub_econstat_wp_33.pdf

(参照日2017年1月29日)

(秦 真也)     

  
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