専門委員会成果物

欧州特許庁,特許情報会議で特許情報戦略を概説

 Benoît Battistelli EPO長官は,マドリッドで開催中のEPO特許情報会議の開会挨拶で,EPOの特許情報政策の4つの基軸を概説した。
 Battistelli長官は開会挨拶で「私たちは,特許情報の大手プロバイダーを目指しています。これは,完璧で有用でタイムリーで正確であることを保証された高品質な特許情報を約束します。」と述べた。 参加者は,EPOがデータの信頼性と正確性を確保しながら,誰もが効率的かつ簡単にデータを検索できるようにより集中することを聞いた。今年度の会議は,フルテキスト検索や全てのデバイスで使用できる 新しく使いやすいインターフェースの提供を含む,EPOの無料オンライン特許検索ツールEspacenetの新バージョンのようなEPOの特許情報の最新の開発情報をカバーする。EPOは,特許情報の世界有数の プロバイダーであり,加盟国や五大特許庁(IP5)が属する国(中国,アメリカ,日本,韓国),世界知的所有権機関(WIPO),欧州連合知的財産庁といった国際的なパートナーと協力して, 製品に新しいツールとサービスを継続的に追加する。欧州最大の特許情報会議であるEPO特許情報会議は,第26回が開催され,45カ国以上から400人以上が参加している。この会議はまた,EPOが フィードバックを集め,特許情報専門家との現在の機会と課題について議論する機会でもある。
 Espacenetの最新情報はリリースノートに掲載されている。2016年11月版ではグローバルドシエ関係の説明が主に記載されている。また検索結果の発行日でのソート,全文検索や書誌事項の収録範囲が掲載されている。
 グローバルドシエサービスは,WIPOが提供する特許の出願・審査情報共有ネットワークであるWIPO CASEイニシアチブ参加国(インド,カナダ,シンガポール等)を含むように拡張された。一般ユーザが調べられる ドシエ情報はIP5だけでなくカナダ特許庁およびPCT出願も含まれる。EPOからグローバルドシエ情報を調べる場合は,EspacenetからとEuropean Patent Registerからの2通りがある。EPまたはWOのファミリーが ある案件はどちらからでも検索可能である。EPまたはWOいずれにもファミリーが存在しないIP5,カナダ,PCT出願案件はEspacenetから調べられる。また,ドシエ情報を確認できるのは各特許庁で情報を提供して いる時間帯に限られる。

(EPO News 9 November 2016)
http://www.epo.org/news-issues/news/2016/20161109.html
(参考)Patent Information Conference 2016

http://www.epo.org/learning-events/events/conferences/2016/pi-conference.html
(参考)Espacenet Release notes November 2016

http://www.epo.org/searching-for-patents/technical/espacenet/release-notes/release-notes-november-
2016.html
(参考)JPOドシエ情報の一般ユーザへの提供

https://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/godai_patent_user.htm
(参照日2016年12月12日)

(和田 一美)     

  
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