専門委員会成果物

欧州特許庁が手数料に関する規則を改定,全額返還に

2016年6月30日,欧州特許庁(EPO)は,手数料に関する規則11条が改訂されたことを発表した。
改訂された規則11条は,概ね以下のとおりである。
「条約94条第1段落に定める審査手数料は以下のように返還される,
(a)実体審査が開始される前に,欧州特許出願が取り下げられ,却下され,または取下げ擬制された場合は,審査手数料の全額が返還される。
(b)実体審査が開始された後であっても,
  (ⅰ)EPC第94条(3)に基づく審査部による最初の通知に対する応答期間の満了前,または
  (ⅱ)EPC第94条(3)に基づく通知が発行されないときは,EPC規則第71条(3)に基づく通知(特許付与予告通知)     が発行される日前 までに,欧州特許出願を取り下げた場合は,審査手数料の半額が返還される。」
改訂後の手数料に関する規則11条(a)では,実体審査の開始前に出願が取り下げ等された場合,審査請求料の全額―従前の75%にかえて―が返還されるよう改訂された。
この返還の利点を完全に出願人が得られるようにするため,EPOは,いくつかの出願のため,運用上可能なとき,出願人に,少なくとも2か月前に,実体審査を開始する日を通知する。
この通知文書は,通知された日前にはEPOが実体審査を開始しないことをコミットするが,勿論,通知された日以降に実体審査が開始されうる。
改訂後の規則11条(a)は,2016年7月1日以降に取り下げられ,却下され,または取下げ擬制された全ての欧州特許出願に適用される。
改訂後の手数料に関する規則11条(b)では,出願人は能動的に取り下げた場合にこの返還を得ることができ,却下され,または取り下げ擬制された出願に対しては返還されない。
Rule 137(4)の通知などが審査における最初の通知として送られていたとしても,審査部がEPC第94条(3)に基づく最初の通知をする際迄に取り下げられた場合,出願人は半額返還の利益を得ることができる。
改訂後の規則11条(b)は,2016年11月1日以降に実体審査が開始された全ての欧州特許出願に適用される。

EPOニュース(2016年7月1日)
https://www.epo.org/news-issues/news/2016/20160701.html

EPOオフィシャル・ジャーナル(2016年6月30日)
https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2016/06/a49.html

(参照日2016年11月20日)

(竹内 均)     

  
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