専門委員会成果物

英国知的財産庁,BREXITに伴う知的財産法の影響に関する見解を発表

 2016年8月2日,英国知的財産庁(UKIPO)は,英国のEU離脱(BREXIT)に関する国民投票の結果を受けて,知的財産制度の将来について不確実な情報に基づく憶測があるとし, 「IPとBREXITに関する事実」についての見解を公表した。
 特許に関して,BREXITは欧州特許庁に特許保護を求める上で影響を与えるものではなく,英国に適用される特許を欧州特許庁から取得することは引き続き可能であるとしており,英国をカバーする既存の欧州特許も影響を受けないとされている。また,統一特許裁判所に係る議論に関しても当面変更はなく,英国は引き続きこれに係る会合への参加を継続していく。
 商標と意匠に関して,BREXIT後には欧州連合商標及び登録共同体意匠が効力を失うことから,今後英国政府が様々なオプションを検討し,最善策となる制度についてユーザーの意見を求める予定であるとしている。なお,英国はマドリッド協定議定書の加盟国であるため,当該議定書に基づく国際登録においては,これまで通り英国の領域指定が可能である。また,意匠のハーグ協定については,2017年の加盟を目指しているとされている。
 著作権に関して,BREXIT後にEUの指令や規則が継続して効力を持つかどうかは今後のEUと英国との関係に依るとされている。また,法執行体制も当面変更がなく,国境での模倣品その他の侵害品を遮断するためのプロセスにも変更は無いとしている。

英国知的財産庁ニュース(2016年8月2日)
https://www.gov.uk/government/news/ip-and-brexit-the-facts

(参照日2016年10月14日)

(北脇 仁史)     

  
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