専門委員会成果物

グローバル・イノベーション・インデックス2016の発表

 8月15日,国際競争力の指標の一つであるグローバル・イノベーション・インデックス(以下GⅡ)2016が発表された。GⅡ 2016には,128の国と地域を対象とした各国ランキングが掲載されている。
 GⅡ 2016の各国ランキングによれば,スイスが1位であり,以下,スウェーデン,イギリス,アメリカ,フィンランド,シンガポール,アイルランド,デンマーク,オランダ,ドイツと続く。日本は16位であり,他のアジア諸国では,韓国が11位,香港が14位,中国が25位となる。中所得経済圏でトップ25に入ったのは,今回の中国が初めてである。
 GⅡは,コーネル大学,INSEAD(仏の経営大学院),世界知的所有権機構(WIPO)による共同出版物である。GⅡは,2007年から毎年発行されており,今年で第9版となる。日本のGⅡランキングは,2012年からは,年々右肩上がりに上昇している。
 GⅡは,インプットサブインデックススコアと,アウトプットサブインデックススコアとの平均として計算される。イノベーションインプットサブインデックスは,制度,人材と研究,インフラ,市場の洗練度,ビジネスの洗練度からなる。イノベーションアウトプットサブインデックスは,知識と技術のアウトプット,創造的なアウトプットからなる。各項目は,更に詳細な指標に分類される。
 日本は,イノベーションインプットサブインデックスランキングでは,9位であるものの,イノベーションアウトプットサブインデックスランキングで,24位となり,全体としてのランクを落としている。
 日本のイノベーションインプットサブインデックスの中で,インフラ(7位)と,市場の洗練度(8位)の評価は高い。一方で,日本のイノベーションアウトプットサブインデックスの中では,創造的なアウトプット(36位)の評価が極めて低い。また,知識と技術のアウトプットは13位であるものの,その中で知識インパクト(72位)の評価が突出して低い。
 創造的なアウトプットについては,創造的な商品&サービスは20位であるものの,無形資産(43位),オンライン創造性(40位)の評価が低いことが原因でランクを下げている。これらの詳細な中身を見ると,商標(56位),文化的&創造的サービスの輸出(60位),国コードトップレベルドメイン(49位),ウィキペディアの編集(40位)の評価が低い。
 知識インパクトの内容を具体的に見ると,労働人口当たりのGDPの成長率(100位),新規事業(97位),ISO 9001品質認証(39位),コンピュータソフトウェア支出(37位)が原因でランクを下げている。

WIPOホームページ GII 2016(2016年8月15日)
http://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2016/article_0008.html

The Global Innovation Index
https://www.globalinnovationindex.org/gii-2016-report
http://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo_pub_gii_2016.pdf

(参照日2016年10月19日)

(河内 太一郎)     

  
Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.