専門委員会成果物
欧州特許庁，審判部の独立性及び効率の向上のための組織再編案が承認されたことを発表
７月１日，欧州特許庁（EPO）は，欧州特許機構管理理事会（Administrative Council of the European Patent Organisation）が欧州特許条約（European Patent Convention）の枠内における 審判部（Boards of Appeal（BoA））の組織再編案を圧倒的多数の賛成で承認したことを発表した。これは，審判部の管理上の権限を増すことによる独立性の強化及び効率を高めることを目的とする ものであり，更に，組織の効率を高めることにより，審判部の費用回収（cost coverage）を数年のうちに増やすことも目的としたものである。審判部は，EPOが欧州特許出願及び欧州特許に対して下した決定に対する審判の審査を行う部門であり，審判部の組織再編については，1995年，2004年にも組織再編が試みられたが失敗するなど，議論がなされてきた。
本ニュースリリースによると，審判部は新たに審判部ユニット（a Boards of Appeal Unit）として，EPO内に設けられ，審判部長官（President of the Boards of Appeal）のポストが新設される。審判部長官は欧州特許機構管理理事会に対してのみ責任を負い，EPO長官に対しては責任を負わない。また審判部長官には，EPO長官から審判部ユニットの管理に関する全ての権限を委譲され，更に審判部長官は拡大審判部の議長も務めることとなる。
また，新たに審判部委員会（Boards of Appeal Committee（BoAC））が欧州特許機構管理理事会の下部組織として設立され，審判部と欧州特許機構管理理事会の間をつなぐ役割を果たす。 具体的には，審判部委員会は，審判部の運用に関する一般的ガイダンスを含む，管理上，組織上の課題について，審判部長官にアドバイスを行う。
なお，新たな審判部ユニットのオフィスはミュンヘン市内の新たな場所に入る予定であり，審判部の職員を対象とした特別なキャリアシステムも構築される予定である。
EPOニュース（2016年７月１日）
http://www.epo.org/news-issues/news/2016/20160701a.html
148回欧州特許機構管理理事会の議事内容（2016年７月１日）
http://www.epo.org/service-support/updates/2016/20160701b.html
（参考）過去のEPOニュース（2015年４月30日）
http://www.epo.org/news-issues/news/2015/20150430.html
（参照日2016年９月20日）
（川濱 周弥）
