専門委員会成果物

イギリス国民投票後,専門家は単一効特許制度への強い支援を表明

 ミュンヘンの欧州特許庁本部で開催されたPremier Cercleによるカンファレンスで,専門家は単一効特許の最新の役割,及びEU離脱支持のイギリス国民投票の潜在的な影響について議論するために集まった。
 学者,弁護士,政府関係者,その他の専門家によって構成される200名以上の参加者を前にした開会の挨拶の中で,Benoît Battistelli EPO長官は,国民投票はイギリスの欧州特許機構(EPC)でのメンバーシップになんら影響を与えるものではないことを明確に示した。EU加盟国における単一効特許,及び統一特許裁判所への影響に関しては,Battistelli長官は,イギリスにとって,国際協定である統一特許裁判所協定を批准することには様々な意味があることを言及した。また,ユーザーコミュニティの支援を得ることによって,正しい解決策が見つかるものと確信していることを言及した。
 Jérôme Debrulle議長,Alexander Ramsay統一特許裁判所準備委員会委員長を含む他の大勢の参加者はイギリスでの国民投票にかかわらず単一効特許,及び統一特許裁判所は前進するだろうという強い考えを表明した。そして両者とも,特許パッケージ実行の最新マイルストーンを発表した。彼らは,特に,国民投票結果の影響がより明瞭になるまでは,できるだけ早期に単一効特許,及び統一特許裁判所を稼働させるというユーザーコミュニティの明確な願いに沿って,作業が進展するよう,技術的な実現に向けた作業を継続することを強調した。
 Margot Fröhlinger, EPO法務長はこのプロジェクトは開始から障害の多い道程にあったことを振り返り,ユーザーコミュニティの支援とともに,この究極的なハードルを克服できるという自信を表明した。彼女は単一効特許,及び統一特許裁判所を実現するという仕事は,このプロジェクトにとって,極めて進歩的なものであり,立ち止まることができないほど,発展には勢いがある点を強調した。
 3つの大陸にわたる13カ国からの20人以上のスピーカーは単一効特許制度の施行,およびイギリス離脱後の見通しがどのようなものか討論した。さらに,上記のスピーカーに加えて,主要な判事,産業界からの代表者とともに,Ansgar Ohly博士(ミュンヘン大学競争法,及び知的財産法,民法議長),Max Brunner(フランス法務省UPCミッション部長),György Kozma(人事及び法律問題ワーキンググループ議長)といった,他の著名な専門家もスピーカーとして含まれていた。

欧州特許庁プレスリリース
http://www.epo.org/news-issues/news/2016/20160708.html

(参照日:2016年7月25日)

(仁井田 大輔)    

  
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