専門委員会成果物

英国知的財産庁が女性発明者に関する分析結果を報告

 英国知的財産庁は女性の発明者に関する分析結果について,2016年4月18日付けで報告書を発行した。
 この分析は,STEM(Science,Technology,Engineering,Maths)の分野における女性の活躍に対する政府の期待を背景として実施されたものであり,出願書類に記載された発明者の名前に基づき,Tang methodology,およびMatias methodologyといった技術によって発明者の性別を自動判別することによって行われている。
 報告書によると,英国出願における女性発明者の割合は男性発明者に対してまだまだ低いものの,1980年には4%以下だった女性発明者の割合が2015年には8%を超えており年々増加の傾向を見せていることが分かる。また,地域別の女性発明者の割合に着目すると,英国の中で女性発明者の割合が最も多いのはロンドンであり,11.5%が女性発明者であると報告されている。更に発明者の出身国に着目すると,英国出身,独国出身の発明者における女性発明者の割合は,それぞれ,7.0%,5.0%であるのに対し,仏国出身の発明者における女性発明者の割合は,12.8%であり,仏国出身の発明者における女性発明者の割合が英国,独国に比べて高いことが分かる。なお,日本国出身の発明者における女性発明者の割合は 5.8%であることも合わせて報告されている。
 この他,IPCサブクラスに着目した技術分野別の女性発明者の割合に関するデータについても紹介されており,これによると,女性発明者の割合が高い技術分野は,下着,衣類,靴,化粧品,家具,食品を対象とした技術分野であり,特に下着分野においては,男性発明者よりも女性発明者の割合の方が高くなっている。これとは逆に,エンジンや兵器を対象とした技術分野では女性発明者の割合は1%以下ということが報告されている。

(英国特許庁 Latest documents 2016年4月18日)
https://www.gov.uk/government/publications/gender-profiles-in-uk-patenting-an-analysis-of-female-inventorship

(参照日 2016年4月26日)

(新川 悦子)    

  
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