専門委員会成果物

欧州特許庁が2016年1月1日からのPACEプログラム運用変更を発表

 欧州特許庁(EPO)は2016年1月1日より早期審査の枠組みであるprogramme for accelerated prosecution of European patent applications:PACEの運用の見直しと明確化を行うと発表した。
 今回の運用の見直しによって,Early Certainty from Search:ECfS(2014年7月1日以降に出願されたEP出願について,出願日から6カ月以内でサーチレポートを発行するよう努めるというEPO内の 調査促進の取り組み)との整合が取れるとしている。
 今回のニュースリリース,及び付随情報のオフィシャルジャーナル(A93,A94)で示された,運用見直しのポイントは以下の通り。
  1. 加速調査,加速審査それぞれの申請可能時期が明確に区別された。具体的には,調査段階でPACE申請を行っても加速審査を申請したことにはならず,出願処理責務が審査部に移行した時点から 加速審査の申請を行うことが可能となることが規定された。
  2. ECfSにより,2014年7月1日以降の出願は全て加速調査の対象となるようになったため,加速調査の申請が必要となる対象は,2014年7月1日より前に出願された優先権を伴う出願に限定されることが 示された。
  3. 調査段階,審査段階でそれぞれ1回のみPACE申請が可能であることが規定された。
  4. PACEからの除外対象となる条件と,加速手続が中断される条件が明示された。除外対象となる条件として,以下の場合が挙げられている。
    • PACEの申請が取り下げられた場合
    • 出願人が期限の延長を申請した場合
    • 出願が拒絶された場合
    • 出願が取り下げられた場合
    • 出願が取り下げられたとみなされた場合
 また,中断される条件として,Rule51(1)に定める期限に更新手数料が納付されなかった場合が挙げられている。
 オフィシャルジャーナルでは,PACE以外に,調査段階の促進手段としてRule 161,162の通知を受ける権利の放棄,審査段階の促進手段としてRule70(2)の通知を受ける権利の放棄,Rule71(3)の 更なる通知を受ける権利の放棄が挙げられている。
 また,別の審査加速のオプションとして特許審査ハイウェイ(PPH)パイロットプログラムが使用可能であることが示されている。

(EPOニュース)
http://www.epo.org/news-issues/news/2016/20160101.html

(EPOオフィシャルジャーナル)
http://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2015/11/a93.html

http://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2015/11/a94.html

(参照日2016年2月15日)

(阿部 泰之)

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