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欧州特許庁が2015年の主要な成果を発表

 欧州特許庁(EPO)は,2016年1月13日のニュースリリースで2015年における主要な成果を発表した。ニュースリリースでは以下の報告をしている。
 近年行われた改革により,2015年のEPOは生産性・即時性・品質の著しい改善と共に,先例のない成果を達成した。
欧州における特許保護の需要を背景に,EPOの4,200人の特許審査官は365,000件の調査と審査(前年比+14%)を行った。これは,特許審査官のリソースを登録と異議に重点的に振り分けただけでなく, 採用戦略とITシステムの改善によるものである。
 EPOのバティステリ長官は,「2015年はEPOにとってとても成功した年であり,全ての職員はその達成に誇りを持てる。組織の効率改善のために私たちが行った内部改革は功を奏している。ユーザーが 私たちの品質と効率を信頼し続けられるように,2016年もすべての分野で改善が継続されるように努力する。」と語った。

〈即時性の改善〉
 登録率は約48%と前年と比べて変わらなかったが,2015年の登録件数は68,400件(2014年は64,600件)であり目標を超えた。出願後6ヶ月以内に優先的に特許性のコメントつきのサーチレポートを 発行するという“Early Certainty from Search(ECfS)”の開始から18か月において,85%以上のサーチレポートがこの基準に合致した(“A”公報発行に間に合うよう準備ができた国際調査報告 90%以上のデータを含む)。また,検索のバックログは3分の1になった。

〈高品質のサービス〉
 生産性・即時性・品質が改善する一方,EPOの成果やサービスの品質も向上した。 2015年末に,EPOは特許情報と特許付与後の活動についてISO9001の認証を受けた結果,特許全体のプロセスで認証されることになった。EPOの品質目標(調査・審査の適合保証(CASE))は両方とも 95%だったが,調査で98.6%,審査で98.7%と目標を超えた。
 また,EPOは,高品質の調査の基となる,国際的に承認され効率的な分類作業を継続し,110万の文書に分類を付与した。その結果,分類待ちの文書のバックログは56,278から18,508に減少した。

〈追加費用なしでより良いパフォーマンス〉
 EPO内部改革のおかげで,これらの改善において料金の値上げといったユーザーへの負担はなかった。料金は2010年以来,インフレのための微調整以外安定的に推移した。 EPOはPCT調査手数料の凍結(2012年より実施)の継続を確かなものとするとともに,2016年4月よりその凍結をPCT審査手数料に拡大する。

(EPOニュース)
http://www.epo.org/news-issues/news/2016/20160113.html
(参照日:2016年2月19日)

(藤原 茂)

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