専門委員会成果物
非自明性の判断における類似する先行文献を広く解釈した事例
CAFC判決 2016年11月15日Unwired Planet, LLC v. Google Inc.
［経緯］
Unwired Planet, LLC（Ｕ社）は，位置情報サービスの提供方法に関する特許（7,024,205）の特許権者である。’205特許は，次の� 銑�の構成を含む発明を開示している。�仝〆�者が携帯機器でサービス提供者（例えばレストラン）等を検索した際，ネットワークサービス管理者は，検索者の携帯機器の場所を考慮して検索結果を検索者に対して配信する。�▲機璽咼皇鷆ー圓蓮� ネットワークサービス管理者に対して料金を支払うことで，サービス提供者を検索結果の上位に表示させることができる。��これにより，携帯機器を所持する検索者から遠いサービス提供者であっても， 検索者から近いサービス提供者よりも検索結果が上位に表示されうる（以下，farther-over-nearer orderingという）。この’205特許に対し，Google Inc.はCBM及びIPRを請求したところ，PTABは，’205特許は複数の先行文献に基づき自明であることなどを理由に，’205特許は無効であると判断した。
PTABの判断を不服としたＵ社は，次の１）〜３）について争うべく，CAFCに控訴した。１）’205特許は位置情報サービスに関する発明であるが，自明であるとの根拠に用いられた先行文献のうちの１つは， グラフィカル・ユーザー・インターフェース（GUI）に関するものであることから，’205特許と類似の先行文献（Analogous art）には該当しない。２）先行文献はfarther-over-nearer orderingを開示していない。 ３）当業者には，複数の先行文献を組み合わせる動機がない。
［CAFCの判断］
CAFCは，Ｕ社の上記３点の主張は，以下の１）〜３）の観点から妥当ではないとし，PTABの判断を支持して特許無効を維持した。１）’205特許は無線ネットワークシステムに関するものであり， かつ情報の並べ方や表示法に関するものであるところ，先行文献はGUIに関するものではあるが，情報の並べ方や表示法に関する技術も開示されていることから類似の先行文献に該当する。２）先行文献では， 常にfarther-over-nearer orderingとはならないものの，特定の条件においてfarther-over-nearer orderingとなることを開示していることから，先行文献はfarther-over-nearer orderingを開示している。 ３）先行文献の教示内容や専門家の証言を考慮すると，先行文献を組み合わせる動機付けは存在する。（山名 健司）
