専門委員会成果物

ビジネス方法(Covered Business Method:CBM)レビューにおいて,Patent Trial and Appeal Board(PTAB)は,CBM特許に該当するかどうかを法上の定義(37 CFR 42.301(a))に基づき判断すべきと示した事例

CAFC判決 2016年11月21日
Unwired Planet, LLC v. Google Inc.

[経緯]

 Unwired Planet, LLC(U社)は,無線装置の位置情報へのアクセスを規制するためのシステムおよび方式に関する特許7,203,752(’752特許)の特許権者である。Google Inc.(G社)は, U社の’752特許のクレーム25-29に対してCBMレビューを請求した(CBM2014-00006)。
 PTABは請求のあった全てのクレームについてCBMレビューの開始を決定した。PTABはUSPTOのPolicy Statementに基づきCBMの法上の定義(37 CFR 42.301(a))を拡張し,「本質的に金融活動であり, 金融活動に付随し,または金融活動を補完する行為について請求する特許であるか」どうかを検討した。その結果,クレーム25に記載された主題がサービスまたは物品販売の金融活動に「付随し, または補完する」ものであることを理由として,’752特許がCBM特許であると認定した。その上で,PTABは最終決定において,’752特許のクレーム25-29は特許法第101条に規定する特許適格性を有しないと判断した。 U社はCAFCに控訴した。

[CAFCの判断]

 CAFCは,USPTOのPolicy Statementは法的拘束力がなく,前記Statementに基づき法上の定義を拡張するのは妥当でないと指摘した。
 またCAFCは,前記Statementが依拠している立法経過での上院議員の意見も,一議員の意見に過ぎず立法に関わった議員の多数意見ではないため有効な法的基準にならないと判示した。
 さらに,CAFCは,PTABがUSPTOのPolicy Statementを根拠にして,法上のCBM特許の定義から外れる特許をCBM特許としてレビューすることは,議会がUSPTO(PTAB)に認めた権限を超えるものであり,認められないと判示した。
 CAFCは,PTABがCBM特許であるかを判断するには法上の定義を適用するべきであると判示した上で,PTABの最終決定を破棄し,’752特許がCBM特許に該当するかの判断についてPTABに審理を差し戻した。

(斉藤 靖典)

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