専門委員会成果物
Alice判決に基づき特許適格性なしと判断した地裁判決を支持した事例
CAFC判決 2016年９月23日Affinity Labs of Texas, LLC v. DIRECTV, LLC, et, al.
［経緯］
Affinity Labs of Texas, LLC（Ａ社）は，DIRECTV, LLC（Ｄ社）らが，Ａ社保有の放送信号を他の地域に位置する携帯電話にストリーミングするシステムに関する特許（7,970,379）を 侵害したとして訴えた。被告らは，’379特許は特許適格性がないと主張し，却下申立をした。地裁は，Alice最高裁の判決での２つのステップの判断基準に基づき，’379特許は � 崔蠑欒鞠亜�abstract idea）」に該当し，�◆嵌�明的概念（inventive concept）」を含まないと判断し，却下申立を認めた。その後，Ａ社は控訴した。
［CAFCの判断］
CAFCは，地裁判断と同様に，Alice判決で挙げられた２つのステップに基づいて’379特許の特許適格性がないと判断した。��CAFCは，クレームが特許不適格な抽象概念であるかについて検討した。（ⅰ）地域放送コンテンツに，他の地域からのアクセスを提供するのは，従来のラジオ及びテレビ放送システムにも採用された 技術であり，（ⅱ）携帯ディスプレー上にコンテンツリストを提供する機能，地域放送チャンネルリクエストを送信する機能，ストリーミング信号を受信する機能の’379特許の３つの機能は，域外放送がどのように行われるかを説明するというよりも，’379特許はその性質上，全体的に機能的であり，アイデアそのものにすぎないと判断した。
また，携帯電話だけに放送を配信する限定についても，CAFCは，「抽象概念を単純に特定の分野に限定しただけでは，クレームの抽象性は減少しない」と判断した。
��CAFCは，クレームが抽象概念であっても，それを特許適格に変化させる「追加特徴（additional feature）」の有無について検討した。
CAFCは，クレームには，その抽象概念を保存する媒体，GUI（Graphic User Interface），信号の送信・受信等，携帯電話の一般機能の使用等が開示されていたが，Alice判例に基づき，汎用コンピュータでの実施だけでは，域内放送の域外配信という抽象概念を特許適格な発明に変化させるのには十分ではないと判断した。
結論として，CAFCは，’379特許は抽象概念であって特許適格性を満たさないと判断した地裁の判決を支持した。
（崔 基泰）
