専門委員会成果物

Alice最高裁判決に基づいた特許適格性のtwo-step frame workに対して,クレームに記載された発明により技術的改良が認められてabstract ideaではないと判断された事例

CAFC判決 2016年9月13日
McRO, Inc., et al. v. Bandai Namco Games America, Inc., et al.

[経緯]

 McRO, Inc. (M社)は,M社の3次元アニメーション自動生成方法に関する特許(6,307,576および6,611,278)を侵害するとして,Bandai Namco Games America, Inc. (B社)を 含む複数の被告(ビデオゲーム開発会社および出版会社等)を地裁へ提訴した。地裁は,M社の両特許が,Alice最高裁判決に基づき,101条で規定された特許適格性を有さないとして無効と判断した。 これに対し,M社はCAFCへ控訴した。

[CAFCの判断]

 CAFCは,’576特許のクレーム1について,地裁の特許適格性を有さないという判断に同意しなかった。
 CAFCは,方法クレームの特許適格性を判断するときにおけるAliceのtwo-step frame workのいずれのstepにおいても,裁判所は,方法クレームを構成する複数ステップの順番の組み合わせについて注意を向けて見なければならないとした上で,CAFCは,’576特許のクレーム1の特徴点を認め,その特徴点が従来技術よりも技術的に改良があるとした。
 さらに,’576特許のクレーム1は,従来の人の動作を自動化するツールとして単にコンピュータを使ったにすぎないという被告の主張に対して,CAFCは,被告はクレームの手順と同じ工程が,アニメーター(人)によって過去に使われた証拠を裁判所に提供していないとして,同意しなかった。
 そして,CAFCは,’576特許のクレーム1は,アニメーションを自動生成するための特定の方法であり,従来技術よりも技術的に改良があるため,abstract ideaではないとして地裁へ差し戻した。
 Alice最高裁判決以降,101条違反により,特許が無効であると裁判所が判断した事例が着目される傾向にある一方で,クレームについて,技術的改良が認められる場合は,特許適格性を有すると裁判所が判断し,101条により無効とならないことに留意したい。

(山代 大輔)

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