専門委員会成果物

IPRにおける「最も広い合理的な解釈(Broadest Reasonable Construction)」の基準の判決を維持した事例

最高裁判決 2016年6月20日
Cuozzo Speed Technologies, LLC v. Michelle K. Lee

[経緯]

 Cuozzo Speed Technologies, LLC(C社)の特許(6,778,074)は,制限速度を超えて運転しているときにドライバーへ報知するスピードメーターに関する特許である。
 Garmin International, Inc(G社)がIPRを申請し,PTABにより当該特許のレビューが開始された。その後,C社の特許の複数のクレームは自明であると判断され,削除された。
 C社は,PTABの決定に対し,CAFCへ上訴した。
 C社の主張は以下の2点であった。
 1点目は,G社が明確な無効理由に基づく申立てを行わなかったのにも関わらず,USPTOがIPRを不適切に開始したことである。
 2点目は,PTABがクレーム解釈のときに不適切に「最も広い合理的な解釈(Broadest Reasonable Construction)」の基準を使用したことである。クレーム解釈の際には,裁判所が特許の有効性を判断するときに通常使用する「当業者に理解される通常の意味」に基づいて判断すべきであったと主張した。
 CAFCはC社の上記2点の主張を拒絶した。

[最高裁の判断]

 最高裁は,上記2点のC社主張に対するCAFCの拒絶判断を支持した。
 1点目については,米国特許法314条(d)の「IPRを開始するか否かの特許庁の決定は最終決定であり,上訴することができない」との規定に基づいて判断された。
 2点目については,米国特許法316条(a)(4)に「IPRを設置・管理する規則を発行する権限をUSPTOに付与する」という条項が含まれていることが理由に挙げられた。また,最高裁は,この条項がUSPTOに「最も広い合理的な解釈(Broadest Reasonable Construction)」に基づく規則を発行する権限を与えるとしたCAFCの判決に同意した。

(亀井 晃)

Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.