専門委員会成果物
直接侵害に関する新たな基準に基づいて，CAFCが地裁判決を破棄した事例
CAFC判決 2016年４月22日Robert Mankes v. Vivid Seats Ltd.
［経緯］
��Robert Mankes（Ｍ氏）はインターネットで商品などを販売するための予約システムに関する特許（6,477,503）の特許権者である。��一方Vivid Seats Ltd.（Ｖ社）とFandago, LLCは，インターネットとローカルの会場のシステムを連動させ，チケット予約システムを運営していた。
��Ｖ社らは，’503特許にクレームされた発明の全ての構成を単独で実施しておらず，一部の構成はローカルの会場が実施していたことから，Ｖ社の実施は直接侵害を構成しない 状態にあった。そこでＭ氏は，Ｖ社の行為が分割侵害（誘引侵害）にあたるとし，2013年に地裁に訴訟を提起した。
�づ�時，Akamai事件においては，CAFC大法廷は，直接侵害が発生していなくても誘引侵害は成立すると判決したものの，最高裁は，直接侵害が発生していないかぎり誘引侵害は 成立しないとしてCAFCに差し戻していた。
�ィ融瓩凌塾�に対し地裁は，最高裁での判断と同様に，直接侵害が発生していないことから，分割侵害は不成立とした。なお，Ｖ社はＭ氏に対して訴訟における代理人費用を求めたが 地裁はこれを認めなかった。
�Δ海譴紡个掘ぃ融瓩蓮な�割侵害が認められなかったことを理由に控訴し，またＶ社は代理人費用の請求を求めて反訴した。
［CAFCの判断］
�）楫錣凌獲�の最中に，最高裁から差し戻されたAkamai事件において，CAFCパネルは直接侵害が発生していない以上誘引侵害は発生しないと判断したものの，CAFC大法廷は，ある企業が ユーザーに対して指示などした結果，ユーザーの行為が企業に帰し，企業に利益が生じる場合，企業は直接侵害を構成しうると判断した。�△海譴鮗�け，CAFCは，Ｍ氏が主張する侵害の論理は訴訟提起時において成立していたものであり，地裁においては新たな論理に基づいた判断がなされていないことなどを理由に， 地裁に差し戻した。
（山名 健司）
