専門委員会成果物

CAFCにて,連邦特許法の下,連邦地裁に事物管轄権が有ると判断された事例

CAFC判決 2016年4月1日
Google Inc. v. GeoTag, Inc.

[経緯]

 GeoTag, Inc.(Ge社)は,Google Inc.(Go社)の顧客を含む300以上の企業に対し,自身の特許5,930,474(’474特許)に基づく侵害訴訟を提起した。これに対し, Go社は,’474特許の無効と非侵害の確認判決を求めて連邦地裁に提訴した。一方,Ge社はGo社のAdWards(ウェブサイト上でユーザーに広告を表示するオンラインプラットフォーム) が’474特許を侵害するとして反訴した。加え,Ge社は,Go社の第一修正訴状に関し,Ge社とGo社との間に実質的な係争が存在せず確認判決が必要とされるだけの十分な切迫性と 現実性がないと主張してこれを棄却するよう申し立てた。また,自らの反訴についてもこれに付随して棄却されるべきだと主張した。
 連邦地裁は,略式判決において,Go社のAdWardsが’474特許を侵害しないと判決した。また,事物管轄権について,Googleの第一修正訴状は,実質的な係争が存在し確認判決が 必要とされるだけの十分な切迫性があるため,連邦地裁に事物管轄権が有るとして,Ge社の申し立てを退けた。
 これを不服として,Ge社はCAFCに控訴した。

[CAFCの判断]

 CAFCは,Ge社の事物管轄に係る主張について連邦地裁の判決を支持してこれを拒否した。CAFCは,Go社の訴状およびGe社の反訴は共に連邦特許法の下で取り扱うべき問題であり, 少なくともGe社の反訴について28.U.S.C.§1338(a)に従って連邦地裁が事物管轄権を有すると判決した。
 また,CAFCは,Ge社の反訴について,地裁の判断を支持し,Go社のAdWardsは’474特許を侵害しないと判決した。その理由として,Go社のAdWardsは’474特許で限定されている 「動的複製(dynamic replication)」を実行せず,AdWardsが’474特許を侵害するためには,動的複製を含むクレームの全ての限定を実行したことによってその結果を生ずる必要が あるとした。

(吉田 真志)

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