専門委員会成果物

特許がCBM特許に該当するか否かを審理する権限をCAFCは有する判事した事例

CAFC判決 2015年12月15日
SightSound Technologies, LLC v. Apple Inc.

[経緯]

 SightSound Technologies, LLC(S社)は,デジタル音楽やビデオの配信・電子取引に関する2件の特許(5,191,573,5,966,440)を保有している。これに対し,Apple Inc.(A社)は,S社の2件の 特許について,Covered Business Method(CBM)reviewを申請した。
 Patent Trial and Appeal Board(PTAB)は,まず,これらの特許の電子的な商取引は,自然な経済行為であり,また新規かつ非自明な技術的特徴を有しないとして,CBM特許であると判断した。 その上で,S社の特許は,先行文献に基づき自明であり,無効と判断した。
 その後,S社がAppealを行い,CAFCがPTABの判断を再審理することとなった。

[CAFCの判断]

 CAFCは,CBM Reviewの審理開始に関するPTOの決定を再審理する権限は無いとしながらも,特許がCBM Reviewの対象となるCBM特許に該当するかどうかの審理を行う権限はあるとした。その上で, 当該特許がCBM特許に該当するとしたPTOの判断,及び,クレーム解釈や非自明性におけるPTOの判断を支持した。
 CBM特許に該当するかの判断基準の一つに,技術的発明(technological inventions)をクレームしているか否かがある。この点に関し,S社は,クレームに,送信用のコンピュータ・メモリ・ 電気信号が含まれることに基づいて,技術的発明をクレームしておりCBM特許に該当しないと主張した。これに対し,CAFCは,これらの技術的要素は,公知の一般的なハードウェアデバイス (generic hardware devices known in the prior art)であり,技術的発明をクレームしているとはいえないとして,CBM特許に該当するとのPTABの判断を支持した。

(亀井 晃)

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