外国特許ニュース

〈中国〉「2015年中国専利調査データ報告」について

 2016年7月27日,中国国家知識産権局は「2015年中国専利調査データ報告」を公表した。このような全国規模の特許調査成果の公表は初めてであり,その概要は以下の通りである。

(一)調査対象:初めに,本調査の調査対象は,企業,大学,研究機関および個人が対象であり,中国における特許発明,実用新案および意匠(以下「専利権」)に関する創出,利用,保護および管理についてアンケートを行ったことが紹介されている。(従って,この調査データ報告は,アンケートにて回答されたデータに基づく報告である。)

(二)開発状況:この章では,専利権に関する創出期間,費用等の実情について,公開している。企業や個人では専利権の創出期間が比較的短い(2年未満)という結果に対して,大学や研究機関では,専利権の創出期間が比較的長い(2年以上)という結果が出ていることなどが紹介されている。

(三)専利権運用状況:この章では,企業の大きさや種別(国内外)を切り口として,専利権の実施率に関する情報が公開されている。企業や研究機関の専利権実施率が高いことや,国内企業と外国企業では,実施率にそれほど差がないことなどが紹介されている。また,専利権の譲渡および売却状況にも触れており,企業や個人による譲渡および売却率,外国企業による特許発明の譲渡および売却率が,他の状況と比較して僅かながら高いことにも触れられている。

(四)専利権管理状況:この章では,組織の中における専利権管理部門の有無,専利権維持にかける平均的な費用,専利権の質の評価などに関する情報を公開している。

(五)専利権保護状況:この章では,専利権の保護に関する情報を公開している。自身の専利権に関する侵害を発見した場合,行政訴訟,民事訴訟を提起する割合は,大学が一番高く,一方で企業や個人は何も措置を取らない,または警告状を送付するという割合が比較的高いことなどが紹介されている。また,専利権保有者は,今後,特許管理機関が自主的に侵害行為を 取り締まることを期待していることにも触れられている。

(六)主要データ(その他):この章では,すでに出願された専利権の実施率データなどを公開している。

 なお,国家知識産権局は,2008年以降毎年全国特許調査を実施しており,創出,利用,保護および管理など,多方面にわたって調査が行われている。調査結果を十分に活用するために,国家知識産権局は,今後,年度毎に特許調査データを対外的に公開していく予定とのことである。

(参考)

※1)中国国家知識産権局ホームページ「2015年中国専利調査データ報告」原文(参照日:2016. 9. 30)
http://www.sipo.gov.cn/zscqgz/2016/201607/t20160727_1282719.html

http://www.sipo.gov.cn/tjxx/yjcg/201607/P020160701584633098492.pdf

(注)「アジア・オセアニア特許情報」は,最新とは言えない情報も含め,会員に有用と思われる情報を 掲載しています。内容については正確を期したつもりですが,二次情報もあり,必ずしも情報源への確認が充分と言えない場合があります。詳細については会員各位にてご確認下さい。

Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.