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〈中国〉「2016年深入実施国家知識産権戦略加快建設知識産権強国推進計画」について

 2016年6月24日,中国国家知識産権局は「2016年国家知的財産権戦略の実施を深化し,知的財産権強国の建設を加速する推進計画」を公表した(※1)。
 推進計画では(一)〜(六)の6つのタスクとそれぞれに対する具体的な措置が示されている。その要点は以下の通りである。

(一)厳挌な知的財産権の保護:(措置は1.〜24. の24項目)このタスクに対しては,1.特許法改正の推進,2.著作権法改正の積極的な推進,3.不正競争防止法の改正促進,などが挙げ られている。知財分野での法改正やガイドライン策定作業の推進に関する具体的な措置などが主に掲げられている。
(二)知的財産創出・運用の強化:(措置は25. 〜43. の19項目)例えば,30.知的財産集約型産業の認定標準の制定,33.国家知的財産権の公共サービスプラットフォームの構築,41.専利権担保融資業務の展開と深化,などが挙げられている。このタスクに対する措置は,知的財産の創出と活用による産業と経済の相互活性化に向けた取組みが主に掲げられている。
(三)知的財産分野改革の深化:(措置は44.〜59. の16項目)このタスクでは,44.知的財産管理の総合的な改革への取り組み,45.知的財産関連製品の国家会計指標システムへの組込,などが挙げられている。その他,47.知的財産権のある製品の価値評価基準および評価方法の確立,50.国家科学技術プロジェクトに関する知的財産権の管理方法の制定など,各種評価に関連した措置も目立っている。
(四)国際的な知的財産交流と協力の強化:(措置は60.〜71. の12項目)このタスクに対しては,60.WIPO,WTO,UPOVなどの国際機関,及び地域経済パートナー,APEC,BRICなど諸国間との交流と協力の推進,61.中米,中欧政府間の対話メカニズム機能の活用について,65.中米欧日韓5つの特許局との協力強化について,などが挙げられている。
(五)知財の発展基盤の強化:(措置は72.〜86.の15項目)このタスクに対しては,81.大学における専門教育の強化,82.専門家や技術者向けのトレーニング,84.全国の小・中学校における知的財産教育のパイロットプログラム実施,などが挙げられている。人材開発のための措置がより具体的に言及されている点が目立っている。
(六)組織と実施の強化:(措置は87. 〜99. の13項目)このタスクに対しては,87.知的財産戦略の関係省庁間の合同会議制度の改善,88.「新情勢下における知的財産強国の建設加速に関する国務院の若干の意見」の実施を促進するための業務分担案の制定,92.地方の知的財産戦略実施の指導・支援の強化,97.知的財産戦略実施の研究拠点建設を強化,などが挙げられている。

 以上,推進計画では,総計99項目の措置それぞれに対して措置を担当する省庁・組織が明記されており,担当の省庁・組織としては,知識産権局や著作権局はじめ,金融,経済,教育,農林,などに関連した多くの省庁・組織が割り当てられている。
 また措置の内容も,その対象を中央から地方まで,小中学校から大学以上までと広範に網羅されており,まさに知識産権「強国」の建設を加速するための推進計画となっている。

(参考)
※1)中国国家知識産権局ホームページ「2016年深入実施国家知識産権戦略加快建設知識産権強国推進計画」
(参照日:2016. 6. 24)
http://www.sipo.gov.cn/zscqgz/2016/201606/t20160624_1276455.html

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